満足度★★★★
墨の下に隠されたそれぞれの思い
小さなハコながら、しっかり作りこまれたセットが一挙に作品へと
誘ってくれます。しかし、かなり説得力を持って作られた立てこみだけに、
逆に小道具の扱いや着物の着方など、細かいところで慣れてないところが
浮き彫りになってしまったのは、ちょっと残念。
演出も、障子の開閉での場面転換や、記憶を巡らすシーンでの音の使い方、
照明の当て方など、とても丁寧に考えられていて効果的で良かったです。
役者さんについては
蒻崎今日子さんの圧倒的な存在感は凄まじく、及川健さんは戦争の悪夢と
自責の念と闘いもがき苦しみ一つの決断を下すという複雑な役を好演。
また、祥野獣一さんや小鷹未菜さんは、あの時代に生きる人々の存在感を
さりげなくそして確実に感じさせ、作品のリアリティを支えていました。
キーパーソンである吉水雪乃ちゃんが、重く苦しいドラマの中への
清涼剤でもあり、同時にこの家に起きた悲劇への切なさも出していて
名演でした。
余談ですが、製糸工場を営む家の嫁の名が「繭美」、娘が「絹代」というのは
ちょっとした遊び心で面白いですねw
2010/08/16 15:44
名前、気がついていただけて本当に嬉しいです!