有頂天 公演情報 中央大学第二演劇研究会「有頂天」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     面白い。脚本・演出を担ったのは主宰の一角 龍太郎氏、若いのに良くこれだけのシナリオを書いた。スタッフの対応、キャスト表の載っているパンフの表面の写真センスもグー。

    ネタバレBOX


     登場する人物(折尾マサミチ)のモデルは案外中平 卓馬かも知れない。中平 卓馬はラディカリズムを追求した写真家として著名であるが精神を病み長い間病院で過ごした。退院はしたものの2015年に惜しくも亡くなっている。
     今作に登場する写真家・折尾 マサミチは、“終わる瞬間にこそ輝く”と考えその瞬間を写し撮ることに執念を燃やす天才的写真家、一方、写真をベースにプロダクションを営み気鋭の若手と注目される館山 タツヤはコマーシャルベースに重点を置き、アイドル系女優や注目度の高くなりそうな人物を積極的に撮り業界団体や関連企業にも積極的に働き掛けるカメラマン。
     真反対の態度を写真表現の意味する処と捉える両者は、大学の同級生。而も同じサークルに所属していた。また今作に登場する怪しげなバーのマスターは矢張り同じ大学で同じサークルに所属しで部長を務めていたが中退したバニー。メインテーマは芸術至上主義と写真も他者との関りをより良くする為のツールに過ぎないとして人々が求めているとされるタイプの写真を撮り続けヒットさせることを目指すコマーシャリズム。館山の経営するプロダクションが、最も力を入れて押しているのがモデルや女優をこなす桂木ユキであった。彼女は両親を早くに失くし弟のハルトを大学に進学させる為女優として大成する為の夢を一時期犠牲にして働き再度復活したという経歴を持ち現在は弟と同居している。そんな彼女は自分という存在が何処まで人々に注目され支持されているのかを知りたいという欲求を抱えていた。原因は彼女の年齢にもあった。アイドルとしては最終段階、女優として国を代表するような名女優と言われるには知名度が未だイマイチとの不安を抱えていたことがある。そこで彼女が実行に移すことに決めたのは半年後に自死することであった。計画を実施する為、彼女は半年間の自分の写真を撮って貰う為折尾に撮影を頼む。コーディネイトしたのは、折尾の大ファン・但野エイジ。これまでも折尾の事務所を散々サポートしてきた人物である。ユキは自分のメイクを担当していた塩田ミナミが弟のハルトと結婚したのを機に同居していた部屋を出たので、そこに折尾を住まわせ撮影してもらうということで話がまとまった。折尾は写真を撮ることにしか興味が無い為、男女の仲を心配する必要もない。
     ほぼ同じ頃バニーの経営するバーにリストラで新聞記者を首になり、女房子供にも逃げられた森川リョウヘイがやって来て、馴染みとなっていたのだが、彼は偶然ネタになりそうな話題を拾った。そして現在はネットで時々記事をアップしているのも利用してユキのスキャンダルを疑い脅迫めいたことを企てる。こうして月日は過ぎてゆくが、実際に森川が脅迫に及んだ時、関係者一同も集まる中で姉の自死に対して一見それを看過するかのように見える態度を難じてきた館山に対して、弟は、表面だけ観ての批判がどれだけ浅薄なものかを悟らせて論破すると共に脅迫してきた森川に対し、“発表するなら発表するが良い、但し姉が自死した責任をあなたが負うことになる”との趣旨を告げる。これには森川が折れた。結果、ユキの自死計画は着々と進み、遂に当日を迎えた。然しどんでん返しが起こる。どんなどんでん返しかは観てのお楽しみだ!

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    2024/06/14 17:13

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