Dear・異邦人 公演情報 劇団「楽」「Dear・異邦人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     30分程遅れて到着してしまったが、制作の方の適切な対応に感謝。華4つ☆ 追記6.9 20時40分

    ネタバレBOX

     異邦人と聞くと自分達世代の文学好きは皆カミユの「L'Étranger」を想起するだろう。因みにétrangerは名刺として外国人等も意味すると同時によそ者、部外者を意味し形容詞として用いられる場合は、類語の形容詞、奇妙なを現すétrangeに近い①未知の、馴染みのない②無縁の③異質な等の意味を持ち今作のコンセプトとしては日本の翻訳文化の影響を受け最も人口に膾炙している外人、外国人では表現できない特殊な雰囲気を表現する為用いられた“異邦人”の意味する処、形容詞的な意味を持つ用い方と解釈した方がしっくりくる。
     板上はホリゾントに半壊した壁のようなオブジェ、半壊部には植物が這いその手前にずんぐりむっくりの徳利開口部を安定の為に巨きく広げたような形の椅子が2つ。他は素舞台。設定は寂れた公園であるが、春には桜が秋には紅葉が楽しめるものの手入れは行き届かない半野生化した場所。登場するのは公園で暮らす男、酔っ払い公園に入り込んで偶々出遭った支援学級の元教員で現在はOLだが仕事上のストレスで疲れ果てた身の上の2人。
     物語の内容が夢・幻想の世界と現実世界の間を行き交うような精神の話でもあるので男の心象風景内では、薄く血を刷いたような桜の花びらが無数に舞う雨の中。男の総てであったダンサー・亡き妻がダンスを踊り狂う。その幻像に合わせ、男の足が拙いタップを踏む。一度目の邂逅は偶然であったが、2人は約束をしていた。「又、合おう」と。然し2度目に合ったのは半年後。男は独学で手話をマスターし会話が弾む。その中で女は2つの質問をする。その問いに男は答えた。その答えの一部が上記の妻との関係である。男の首には妻を亡くした時に交通事故で負った傷跡が生々しく残り、女が男に就職の誘いを掛けるも反対車線の車が車線を越えて正面衝突してきた刹那に男がハンドルを切らなかった。その原因が妻の浮気を疑っていたことにあったにせよ、自分が妻を死なせたという悔悟の念を断ち切ることができず、同時に総てであった妻との思い出の中に生きるしかない男にはこのような公園で過ごすことのみが自らの記憶を喪失しない唯一の方法であることを告げる。結局、公園がリニューアルされ男は消えた。女も男と最後に合った時点では仕事が軌道に乗り元カレとも復縁して新たな生活に旅立ってゆく。この2人の邂逅は、世間で普通の価値観を生きる人間が己の価値観の枠の中から異質な価値観と生き方をしている世捨て人のような人間に対して持ち得た印象記の体裁をとる。

    3

    2024/06/08 16:26

    0

    4

  • 山本さま
     ハンダラです、コメント有難うございます。
    ところで酔っぱらった状態を見事に演じる役者さんに関する情報を
    お伝えしようと思います。劇団芝居屋の代表をなさっている増田 再起さん。酔っ払いを演じる時にもう一つ可能性のあるのは、心理分析かもしれません。増田さんと劇団については上記情報からHP等をご覧下さい。ご参考まで。貴劇団の更なる発展を祈っております。お仲間にも宜しくお伝え下さい。
                                        机下

    2024/06/12 14:15

    ハンダラ様
    この度はご観劇ありがとうございました。終演後も色々と感想を頂きまして、励みになりました。
    作品のメッセージをじっくり考えて頂き嬉しいです。是非、今後も劇団「楽」を宜しくお願い致します。
    山本

    2024/06/11 09:09

    皆さま
    ハンダラです、遅くなりましたが追記しました。
    ご笑覧ください。

    2024/06/09 20:45

このページのQRコードです。

拡大