ピテカントロプス・エレクトス 公演情報 劇団あはひ「ピテカントロプス・エレクトス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    観念的な作品といった印象の異色作 というか意欲作。
    舞台美術(設営)を始め、照明・音響といった技術も独特の雰囲気で、その中で極めてシンプルな演技が…。演技だけではなく、衣裳も含め余計なものを削ぎ落とし、内容そのもので描き伝えるといった意気込みを感じる。しかし、観客がそれを どれほど理解し吸収出来るか否か、評価が分かれるところ。

    説明にある四幕、その表層は何となく解るが、その裏に潜ませた思いを汲み取ることは難しかった。終演後、カウンターに置かれてあった<あらすじ>の裏面を読んで、その意図を知った。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    囲み舞台。中央に四角い穴があるだけ。上演前に猿人らしき者が穴の周りを動き回る。開演して 直ぐ天井から穴に向かって砂のようなものが流れ落ちる。時代というか時間が流れる、その経過であり諸々が堆積していく表現であろうか。

    冒頭、鴨長明の「方丈記」の一節が語られ 物語が始まる。劇中の案内役になるのが猿長明であり人長明である。説明にある(表層的な)四幕は、400万年前の猿人(4人)、180万年前の原人(4人)、30万年前の旧人(4人)、そして0万年前の現代以降の(新)人類といった区分。幕の繋がり(交代劇)は、夫々の区分の演者が 順々に穴と会場出入口(四隅)へ移動する。そして前時代の演者4人が、少し上を見上げるような仕草で次時代と語り出す。穴は、前時代と次時代の時空を超えた呼応--メタファーであろうか。

    語りの中に「火」「鏃」といった台詞、それは<命><生>への本能的手段・道具を連想させるが、あらすじ の裏面では「兵器」「破綻」といった別のことを警鐘しているよう。まさか、日本の明治維新以降を描いていようとは。全体的には、人類としての反省、自省を客観的に描いているようだ。
    自分の思考・想像では、ここまで踏み込んだ主張を 真に感じ取ることは出来なかった。公演(物語)は、この表裏一体をどこまで感じ取り、面白いと思うか否かで評価が違うかも…。

    演出・演技は、全体的に薄暗い中で、穴に沿って 直線的に歩き回る。天井は何かが蠢く様な妖しい照明。演者は黒い衣裳、かといって全員が同じデザインではなく少しずつ違う。そこに時代や人も同じではない、画一ではないことを表しているようだ。発声・発語は、明確で独特な抑揚? そう言えば、落語や能といった古典芸能をベースに現代の会話劇としてリミックスする手法が話題になっていたっけ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/05/27 16:31

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