最初の二十面相 公演情報 劇団身体ゲンゴロウ「最初の二十面相」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     Aチームを拝見。谷崎の「小さな王国」は読んでいないが。実にスリリングで面白い。
    華5つ☆ ベシミル。追記した。5.25 17:44

    ネタバレBOX

     板上は劇空間入口が、設定上の地下室と外界との接点となるドアになっておりホリゾントにはSNS上の交信内容が映写される。ホリゾント下手、センター、上手に出捌けが設けられている他、センターと上手の出捌け中ほどに丁度監獄で配膳に用いられるような仕掛けが設えられており、人が何とか這いずり出ることができる空洞を可動式板で使用時以外は塞いでいる。物語の多くの部分が小学校の教室での話と絡むので椅子が板上に在る他ラジオのような形の小道具が在る程度、ほぼ素舞台である。二十面相がタイトルに入っている通り犯罪という形、即ち違法になる行為が為されるのだが、今作の描く内容は寧ろ思想そのものである為、極めてスリリングな展開で緊張感が続く場面が多くその緊張度が極めて良質で高い為、またその緊張を破る食品デリバリーの配達員がドアを激しく叩くタイミングが絶妙で強い為唐突に途切れる演出が見事。また途切れた緊張感を上手く逸らし擽りや脱臼的手法で着陸させて別方向にずらして行く手腕もグーである。演劇であるから無論、次のカタストロフへ繋がってゆくのだが、其処は脚本でこの地下空間がどのような場所であるのかが書かれて、自殺志願者が30日の間に課されるミッションと内職をクリアした暁には目的を成就するN国へ行くパスポートを得る(或いはそれが自死成就かも知れないのだが)究極が与えられて居る為、観客が基本的な緊張感を途切れさす懸念は除外されている。この構成も見事である。
     言ってみれば今作は命懸けの思想闘争がメインテーマ。但しこの思想実践は法に抵触するという問題を同時に孕む。即ち体制VS反体制の命懸けの闘争が主題である。無論、命を賭ける以上、同胞たる者には絶対的な信が置けなければなるまい。それが思考を真に自らに真摯な思考と為すと考える根拠足り得ることになろう。また倫理的にも自らの全責任に於いての選択が実存レベルで要求されるのは当然のことだ。若干飛躍するが哲学的に考えれば総ての犯罪は反体制的であるから、極めて現実的な本質に関わる問題提起を江戸川乱歩の小説の主人公の一人である二十面相と絡め、知的でスリリング且つ本質的な問題提起として上演された作品であると言うことができる。
     ところで、書き落としていた。今作ラストシーンの状況を経ても今作の中盤でずっと描かれていた仲間内に於ける支配と隷属の関係である。換言すれば支配VS従属という関係だが、命賭けで同胞としての盟約を結び得た後に何らかの目標に対して(今作の場合は犯罪行為となる反体制的行為ということになるが)完全対等を保ちつつ盟友関係を保ち同時に目的を遂行し続けることが可能か? という問題である。そこに能力差によるヒエラルキーが生じ固定化することはないのか? という問題は必ず出来する。その際、分け前が同等であればそれで済む、ということで完全には解決されない問題はこれもまた必ず出てくるだろう。

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    2024/05/25 12:02

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  • 身体ゲンゴロウの皆さま
    ハンダラです、若干追記しました。ご笑覧ください。
    あとは楽まで駆け抜けて下さい。
                   

    2024/05/25 17:50

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