肝っ玉おっ母とその子供たち 公演情報 東京演劇集団風「肝っ玉おっ母とその子供たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    あとから生まれてくる人たちに
    このタイトルの意味どおり、信仰戦争に巻き込まれた人々がこの戦乱の時代を生き延びていくためにどんな風に生きたか、どんなことを強いられ、どのような知恵をもたなければ生きられなかったかを、戦争に生きる庶民の姿をとおしてブレヒトの時代精神が持つ希求の貴さを問いながら訴えた物語。
    確かに、中学生・高校生にも観て欲しい作品でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    戦乱の中、肝っ玉おっ母は3人の子を連れて小さなホロ車を引きポーランド、チェコ、バイエルン、イタリアなどを転々としながら行商をしてその命を繋いでいた。この戦乱の世を生き抜くためには人間は肝っ玉を持たなければ生きていけない。」そう3人の子供たちにも教え諭し、「体だけは大事にしろ」と口を酸っぱくして言ってきたはずなのに、息子のアイリフとスイスチーズは半ば兵士に騙されて軍に希望入隊してしまう。

    やがて、戦乱の世はそれぞれの兵士たちにも災難が降りかかる。良かれと思って行動した結果が思わぬ方向に誤解を受け、酷いことに二人の息子は虐殺されてしまう。その間、息子を助ける為におっ母は賄賂を画策するも、その駆け引きに手間取って最愛の息子が殺されてしまうシーンはあまりにも残酷な場面だが、戦争というバケモノは人間の理性も崩すものなのだろう。200グルデンの駆け引きの為に失った命。この間、何度もキャストが歌うシーンがあったがイヴェットはもっと練習したほうがいいと思う。歌唱力がないのだ。

    そんな最中、娘のカトリンだけはおっ母の言いつけどおり、おっ母の行商を手伝っていた。カトリンは言葉を発することが出来ない障害を持っていた為、後に男から襲われ暴力を受けてキズモノになってしまう、更に抵抗した時に額に受けた深い傷が残ってしまうのだった。おっ母は娘をみて、慰めるもこれはもう嫁にやることは出来ないだろうと覚悟を決め、更に行商に励み、戦争を見込んで仕入れに没頭するのであった。

    一方でおっ母の留守中のカトリンは3人の敵の兵士が街をうろついている様子を味方の軍に知らせるべく城壁に登り太鼓を叩いて知らせるのだが、このシーンはあまりにも壮絶で美しく感動する情景だ。敵の兵士が「叩くな、降りろ、撃つぞ!」との脅しにも負けず、自らの命を犠牲にして、とうとう街を救ってしまった英雄だった。

    こうして肝っ玉おっ母は一人ぼっちになってしまったが、それでも命ある限り生きなければならない。重いホロ車を引きながら身を粉にして行商する姿は天から舞い落ちる雪のなか、マッチ売りの少女を連想させるが、泡のような雪と対比してその足取りは果てしなく重いのであった。

    終盤にキャストらが歌う「あとから生まれてくる人たちに」を合唱する情景でヤラレル。この劇団の「戦争で犠牲になる庶民の姿を見せよう」と後世に訴える姿勢を汲み取ってワタクシは沸々と落涙し、感動するのだ。



    2

    2010/07/24 13:08

    0

    0

  • なっち>
    満席での千秋楽、良かったですね。
    貴劇団の心意気、しかと受けとめ、ウルウルしました。本当に素晴らしい。
    作家や音楽家や演劇家は訴えるものを表現する場があって幸せだとつくづく感じ入りました。
    公演後、出演者の皆様が、舞台上で挨拶をして、「ヨシ!」みたいな表情をされた時には、こちらも幸福になりました。
    次回も頑張ってくださいね。

    2010/07/28 18:34

    ありがとうございました。
    おかげさまで25日(日)、満席で千秋楽を終えました。
    休む間もなく、次回公演『瀕死の王さま』の稽古が始まり、KAZEはますます暑い夏を過ごします。

    2010/07/28 14:06

このページのQRコードです。

拡大