僕の東京日記 公演情報 劇団伊達組「僕の東京日記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    脚本の素晴らしさ
    永井愛の脚本の力を改めて実感した。ご都合主義のストーリー展開や、力ずくの笑いや、嘘臭い台詞がない芝居は快適だなぁと。
    これだけ多くの登場人物がいるのに、人物造形がしっかりしていて、しかも相互の関係の中で人間性を描いているのが好ましい。
    この芝居の主人公と同世代の自分としては70年代当時を振り返るよい機会でもあった。あの時代に生きていないと実感として伝わらない部分もあると思う。だが、あの当時をまったく知らない若い俳優が生き生きと役を演じていたのがよかった。

    ネタバレBOX

    いまではほとんど姿を消した東京の下宿屋が舞台。小屋一杯に配置した舞台美術が優れもの。以前、このスタジオで別の芝居を観たときと同じ場所とは思えなかった。その分、多少客席に窮屈感は出たが。左翼活動も大衆との遊離が進み、行き詰っていた時代の活動家の様子がよく描かれている。セクト活動家・睦美のスガナミが追い込まれながらますます硬直化していく役をリアルに演じ、鬼気迫るものがあった。それと対比するヒッピーの一派。公務員と両立するピータン(船戸慎士)と人間離れしたかわいさがあるユッケ(渡邊歩実)が面白い味を出していた。ヒッピー3人組と、反戦おでん屋として潜伏活動をしている井出(TAKA)・のり子(土屋咲登子)が同じ下宿に住んでいるというのも、いかにも過渡期のこの時代らしい。街づくり運動や有機農業を行うピータンが活動家たちに「形は違うけど、お互い目指してるものは同じでしょう」と言うが、もう少しのちに左翼活動を離れた人が有機農業や地域活動を始めたことを思うとなるほどな、と思った。デモに参加した経験もあるけれど活動に身を置くまでには至らず、しかし、逃げたとは言われたくないと思う原田満男(山本亮)は、活動家とヒッピーに挟まれ、宙ぶらりんながらも両方に影響を受けているのがこの時代の大学生の象徴でもある。満男の世代は活動渦中にいた全共闘世代よりは少し年下なのだが最近の若い人たちには一緒くたに思われているようだ。
    潜伏活動に疲れていたのり子と心通わせ始めた満男。のり子の土屋は仲間由紀恵にも似た70年代の清楚な美少女で印象に残る。新劇の売れない女優(岩野未知)を気遣う下宿屋の管理人(原妃とみ)。2人の会話から、いまも演劇人について回る「生活資金か、役のチャンスか」という二者択一の悩みや、
    新勢力として台頭してきたアングラ演劇の様子が語られる。ナイティー姿の岩野は妖艶な美しさで、隣客の男性など胸の谷間を凝視していた(笑)。
    公認会計士試験の3次試験に賭ける新見(朝廣亮二)と猫好きの土橋(桃瀬ほのか)の対立で、土橋に想いを寄せるヤクザなクリーニング屋(小笠原游大)が土橋のために奔走するが、そのさなかセクトを抜けるなら岡持ちに入れた爆弾を約束の場所まで運ぶように睦美に命じられた井出はプレッシャーからパニックに。のり子は爆弾を満男に押し付け、結局その満男を冷静な判断と行動で救ったのは、あれほど鬱陶しがっていた教育過保護ママ(塚田美津代)という何とも皮肉な結末。大学受験の母親同伴や、連合赤軍の吉野雅邦の母が「僕ちゃん」と呼びかけたことが新聞記事にもなり、この当時から教育過保護ママがクローズアップされてきた。
    全編通じて女性が逞しく、男性は振り回される一方だった。ケータイがないからこその緊迫感も興味深かった。

    7

    2010/07/23 09:56

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  • Ivanovichさま

    あはっ、そうでしたか。では改めまして、はじめまして。
    ということは、あの岩野さんでしょうか?
    岩野さんは見事なプロポーションのうえにお美しいですね。見惚れましたわ(笑)。
    「華のある新劇女優」という感じが出ていて、とても気に入りました。
    違う作品では、皆さん、どんな感じなのか、今後も楽しみに観てみたいと思います。

    2010/07/27 10:58

    きゃる様!
    ごめんなさい!先ほどのコメントは私、Ivanovichでした。稽古場でみんなでPCを共有していたので、最終ログインの船戸慎士のまま、コメントしてしまいました。失礼しました!

    きゃる様
    ご来場、また、温かいコメントありがとうございました!
    今回、キャスト・スタッフに恵まれた中、この名作に挑むことができ、本当によい経験ができました。おっしゃるとおり、自然な流れの中に人のおかしさが組み込まれていて、笑わせようとしていないのについつい笑ってしまうくだりが多く。演じる方も、その秀逸さと闘うことが一苦労でした。
    「人にこだわる」というテーマを掲げ、これに甘んじることなく様々な作品に挑んでいきたいと思っています。
    ご来場ありがとうございました!

    2010/07/27 10:46

    船戸様

    こちらこそご丁寧なコメントをいただき、ありがとうございました。
    伊達組は今回初めて拝見させていただきました。脚本が秀逸なだけに、演出家のかたや演じられる俳優さんたちも大変だったと思いますが、見事なアンサンブルで感動いたしました。今後ほかの作品も見せていただきたいと思っています。

    2010/07/27 10:42

    KAEさま

    >本当に実力があり、名声がある方程、常日頃の態度もとても謙虚でいらっしゃるし、こんなに大劇作家になられても、私達のような、若輩の者の意見にも、素直に耳を貸して下さる方が多く、永井さんや別役さんは、その意味でも、大作家だと思っています。

    やはりそうなんですね。品性の問題なんでしょうか。上の1行は、自分の知り合いの若い女優さんも同様の感想を述べています。

    永井さんの文章は、戯曲ではないのですが、ずいぶん以前、日経の夕刊に「日本語」をテーマに随筆を連載されていたのが面白く、愛読しておりました。月並みな言い方で恐縮ですが、文才豊かなかたなのでしょうね。

    2010/07/26 23:06

    きゃる様

    子どもの頃から、様々な作家の方とお目に掛かってまいりましたが、やはり、本当に実力があり、名声がある方程、常日頃の態度もとても謙虚でいらっしゃるし、こんなに大劇作家になられても、私達のような、若輩の者の意見にも、素直に耳を貸して下さる方が多く、永井さんや別役さんは、その意味でも、大作家だと思っています。

    永井さんの作品は、戯曲を読んだだけでも大変面白いので、御興味がありましたら、是非、読んでみて下さい。

    2010/07/26 16:20

    KAEさま

    コメントありがとうございます。

    >永井さんのかなり前の作品のため、最近では、劇団の養成所の実習公演などでは、よく上演されるものの、あまりプロの劇団では上演される機会がなく、残念に思っていました。

    そうだったのですか。たしかに前の時代を描いてますものね。今回観て、ケータイのない時代、「いったん外出したら容易に連絡がとれない」状況での人々の行動をとても新鮮に感じてしまいました。

    >「歌わせたい男たち」以降、しばらく新作を書かれずにいて、先日の久しぶりの永井さんの新作の「かたりの椅子」は、永井さんの気持ちがやや前のめりした作品で、かなりがっかりしたのですが、また近々、ニ兎社の新作が上演予定のようですから、次回には、期待したいと思っています。

    「かたりの椅子」は、私が読んでいる新聞の劇評のかたも、コリッチでのKAEさんの劇評と同じようなニュアンスで書かれていましたので、「そういう芝居だったんだな」と推察しました。新作、楽しみですね。

    >あれだけ、多人数の登場人物が、皆、きっちりと書かれていて、素晴らしいですよね?

    話の流れが自然ですよね。いわゆる笑わせることが目的のコメディーとは違うと思うのですが、コメディーを書かれている若い作家にはとても良いお手本となる作品だと思いました。

    2010/07/26 04:53

    きゃる様

    永井愛さんファンとしては、この作品の脚本の良さに着目して頂いて、個人的にとても嬉しいです。
    永井さんのかなり前の作品のため、最近では、劇団の養成所の実習公演などでは、よく上演されるものの、あまりプロの劇団では上演される機会がなく、残念に思っていました。

    「歌わせたい男たち」以降、しばらく新作を書かれずにいて、先日の久しぶりの永井さんの新作の「かたりの椅子」は、永井さんの気持ちがやや前のめりした作品で、かなりがっかりしたのですが、また近々、ニ兎社の新作が上演予定のようですから、次回には、期待したいと思っています。

    あれだけ、多人数の登場人物が、皆、きっちりと書かれていて、素晴らしいですよね?
    皆さんの御感想に寄れば、この劇団の役者さんも大変好演されたようで、観には行けませんでしたが、永井愛ファンとして、喜ばしく感じています。

    もっと、もっと、永井さんの名作、いろいろな劇団で、上演してほしいなと思います。

    2010/07/25 23:48

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