時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     初日を拝見。べし観る! 華5つ☆

    ネタバレBOX

     大奥は二代将軍・秀忠の「大奥法度」によって法的に規定されていた。この法度制定は1618年。将軍及びその子弟を除く男子禁制の場所としてあまりにも名高い。が、幕末のこちらも名高い勝海舟と西郷隆盛の談判によって無血開城が決められた1868年迄は、将軍の私邸として機能し将軍の生母、妻妾、妻ゆかりの女性、乳母、家族更に奥女中らによって用いられていた居住空間であった。大奥で暮らす女性たちは、正室・御台所を中心に今作で描かれるようにこの時動乱の時代を生きていた。武士の二大価値即ち、御家存続・所領安堵の為、殊に御家存続をその目的として機能して居た閉鎖空間の中でである。主目的が御家存続であるから為将軍のみならずその子弟の生活の場でもあり、纏わる女性たちの生活の場所でもあった訳である。因みに大奥は将軍が政務を司る御座の間及び、将軍の住居としての中奥によって外界と切り離されていた。中奥から大奥へは御鈴廊下と呼ばれる通路のみで繋がるという徹底ぶりであった。即ち基本的には女性によって成立している世界であった。ここでジェンダー論を論ずるつもりはないし、様々な立場、様々な意見があることも承知しているが、様々な意見表明の殆ど総てが、衣食住というヒトが生きる原理の前に消滅の憂き目をみるのは歴史的必然及び論理的必然と言わねばなるまい。何となれば論理というものの本質的属性は或るオーダーを要求するしそのオーダーから出発した後大方の論理の唯一の展開は尖鋭化する他にないからである。おっと、話が脇に逸れた。まあ、このような前提の下に女性達の様々な立場(そのヒエラルキーだとか、出身地域の価値観や風習・文化の差、言葉遣いの差異等々)によって利害得失や心理も変化する訳だから多くの当てこすりや一定の品を保ったままの価値観の違いに起因する争闘もある訳である。その具体的な在り様を歴史の河の大きな流れの中で演出も手掛ける女性戯曲家が、女性目線で描いて見せている点で、同性ならではの心理描写、間の取り方等が見事である。各々の登場人物それぞれの心の奥に潜む精神の襞そのものにまで達する描写が随所に見出され、然もそれが実に自然に女優達の表現に現れているからである。無論、近・現代と近世との断絶を繋ぐ仕掛けも自然に見えるように書かれているのみならず、縁(えん)という因(よすが)も巧みに織り込まれている。和服の着こなし、歩み方、衣装の華麗等々も実にしっかりしており、称賛に価する。
     ところで、上記の文章は男の文章だにゃ。女性の表現はもっとしなやかで更に情緒に富む。

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    2024/02/09 12:21

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