エゴ・サーチ【Mura.画】 公演情報 Mura.画「エゴ・サーチ【Mura.画】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     βチームを拝見、尺は120分。

    ネタバレBOX

    中盤迄、何とも間の抜けた退屈な展開だが、これも仕込み。役者陣は中々頑張っている。自分はキジムナー役と美保役、田中役が気に入った。キジムナーはその優しいキャラが。美保役は終盤に近くなるほど素敵に見えてきた演技が、田中役は下種共に対する暴力的態度が。シナリオは2010年に初演された鴻上尚史作品だが、あの年、鳩山が基地問題で首相を辞めさせられ菅内閣が発足、その後自民が再度与党に返り咲く迄の僅かな間多少民主的であった時代だが、国民の殆どがそのことの意味する処を理解できなかった時代でもある。そんな情けない国民の持ち得た最後の民主的時代を浪費していた体たらくが今作前半に表現されているのかも知れない。何れにせよ、中盤からは漸く普通のレベルで骨格ができ、肉も付いて作品らしくなってくる。興味深いのは、社会のダーティーな部分が登場人物として様々に描かれている点だ。ネットを利用した企業の社長が傷害犯として追われており、従業員はリベンジポルノが流布された経緯でAV女優の過去を持つ為削除されない映像に傷つき自己否定に走る傾向を持つ。プロカメラマンを名乗る広瀬はスケコマシ、広瀬に貢ぐ女は風俗嬢等々。ダークグレイな人物が多々描かれている点が興味深い。
     こういった怪しい登場人物たちの登場を埋め合わせるように沖縄の離れ小島の児童を話の中に登場させたり、キジムナーという伝説の存在を登場させたり、案外デリケートな作家志望の一色を登場させたりして全体のバランスを取っている構造自体は全く新味がない。ただ、最初バラバラに見えたパズルの断片を繋ぎ合わせて作品を創造してゆく過程が面白かった。

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    2023/11/05 12:50

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