浦島氏の教訓 公演終了 ご来場御礼 公演情報 殿様ランチ「浦島氏の教訓 公演終了 ご来場御礼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    くすくす笑いをしながら、台詞を楽しむ
    よく組み上がっている話。
    役者もいい雰囲気。

    どうなるんだろう、と楽しむ。

    そして、「亀は甲羅を脱ぐのかどうか」を、帰宅してから、真っ先にネットで調べることになったのだ。

    ネタバレBOX

    話の中心にある張り込みは、実はそれほど重要ではなかったのではないだろうか。実のところ、まったく膠着したままで、何事も起こらない彼らを取り巻く、さまざまな人々のほうに、ちょっとしたドラマがある。

    例えば、本筋とは関係ないと思っていた、若い刑事の十勝が、ラスト近くに見せる、何ごとかが起こりそうな予感をさせる雰囲気や、クリーニング店の店長と従業員の恋物語、さらに、大村の頭髪や上司との関係など、周囲では物語が進行しているという皮肉的な話が効いている。
    (大村は、植毛お試し期間が過ぎて、もとに戻るのだが、で、あれば、もっと・・・な頭のほうがよかったような気がする。あれだとちょっと中途半端かな。でもかえってリアルか)

    犯人もまったく別の場所で逮捕されてしまうし。

    ここには無理をすれば「浦島」的な要素が隠れている。
    つまり、竜宮城である張り込み現場では、時間は止まったままのようなのだが、その周囲の現実では、いろいろなことが進行しているということだ。

    張り込みを終えて、彼らが現実に戻るときには、どんな玉手箱が待っているのだろうか。
    それは、例えば、ただ事ではない様子の十勝の表情からうかがえる、イヤな出来事だったりするのだろう。

    まあ、あとは、十勝が吹き込まれた「助けてあげても、いいことだけが起こるわけではない」という言葉のとおり、助けてもないクリーニング店長に「恩返し」というか、お礼参り的な展開というものも考えられる(「何か見返りがあったのか」と店長に聞いたことを上司に告げ口されたので)。

    さらに、クリーニング店の店員の「玉手箱を渡した乙姫の気持ちがわかる」と言った、ちょっと恐ろしい言葉もかかっているのだろうか(帰るんだったら、酷い目に遭わせるかもしれないと)。

    まあ「教訓」という意味は、それほど深く考えなくてもいいのだろう。だって、もともとフライヤー等の説明にも「教訓はあるのだろうか」なんて書いてあるし。
    「教訓」なんてなく、「助けたら恩返し」されるということと、理由のわからない「玉手箱」というブラックボックスのみを現代に残しているのだろう。
    そんなフレーバーが散りばめられていたのだ。

    細かい台詞がなかなか面白い。クリーニング店での会話の、染み抜きや亀の様子にかけた下ネタちっくな会話や、方言と標準語、そして、それによる女性刑事の反撃。
    それに合わせての、ちょっとした表情などの演技も巧みだ。

    また、店長が携帯でする会話から、不倫を想像するのだが、同居しているのは、実は母親だということが後でわかる。こういうシカケが実に楽しい。
    澤木がかつて、山下のせいで足を怪我してしまうのだが(それも誤射されて)、それについても、「だって急に出てくるんだもの」であっさりと流すあたりも面白い。換気扇のヒモが取れちゃうとか。
    こんな、ちょっとしたくすぐりが山盛りなのである。
    それに気がつけば、くすくす、としてしまう。

    現場のリーダー山下を演じた服部弘敏さんの、独特でひょうひょうとした感じがよかったし、別のルートから犯人を追っている鍋島を演じた板垣雄亮さんの不気味で、恫喝チックな刑事もなかなかだった。

    ただし、いくつかのエピソードが、最終的にうまい具合に絡まっていかない感があり、もうひとつすっきりしないのが少々残念(ま、絡まりあっていかず、玉手箱も開けることのない、っていう話なんだけど)。

    それにつけても、殿様ランチは今回で3回目だが、いつもなんか暗い陰がちょっとだけある(ガンで死ぬ話だったり、劇中劇ながら無慈悲に殺されたりとか、今回は十勝刑事だ)。

    そして、亀はどうやら甲羅を脱ぐことはできないらしい。

    4

    2010/06/30 08:08

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  • きゃるさん

    そうでしたか。私は、あ、そうだったのか(と、笑ったので)、と思ったので、それからはあまり台詞にか注意を払っていませんでした。

    2010/07/01 21:27

    アキラさま

    >たぶんそうだと思います。携帯で話していたのが、食事を作ってくれている同居人との会話だったのと、福島(だったかな)に戻り母親と暮らすという2つを結びつけただけです。それと、帰ると告げたときに、何かもう少しそれを匂わすような台詞があったように思います(どんな台詞だったかは忘れましたが)。

    私もあの会話は母親へ向けてだと思います。実は、昔、同じ職場で必ず母親に夕食の件で電話する仕事上の相棒の男性がいて、知らない人が聞くと奥さんと勘違いする感じのしゃべりかたで、よく他の人から「あのかた独身じゃないんですか?」と聞かれましたので(笑)。
    台本で確認してないので何なんですが、そのあとの「帰郷」を女店員に告げる会話が、私が聴いていた限りでは「母も一緒に連れて帰る」ことを匂わせることばがなかったようなので、混乱しちゃったんですが。

    2010/07/01 15:53

    きゃるさん

    コメントありがとうございます。

    >やっぱり母親と同居なんですね。

    たぶんそうだと思います。携帯で話していたのが、食事を作ってくれている同居人との会話だったのと、福島(だったかな)に戻り母親と暮らすという2つを結びつけただけです。それと、帰ると告げたときに、何かもう少しそれを匂わすような台詞があったように思います(どんな台詞だったかは忘れましたが)。

    >亀は甲羅を脱がないんですね?(笑)

    全部の亀がそうかは知りませんが、背骨が甲羅に張り付いているらしいです。
    一応ご参考まて(笑)。

    http://labaq.com/archives/51136598.html

    2010/07/01 07:25

    アキラさま

    >また、店長が携帯でする会話から、不倫を想像するのだが、同居しているのは、実は母親だということが後でわかる。こういうシカケが実に楽しい。

    やっぱり母親と同居なんですね。最初、そうじゃないかと思ったけど、「おふくろの具合があまりよくないらしくて」と推測風に言うから、さも離れて故郷にいるような口ぶりなんですよね。これもひっかけ?ふつうなら「おふくろもからだが弱ってきたからこの際、一緒に田舎に帰ったほうがいいかと思って」と言うでしょう?「一緒に」とは言わなかったから。私みたいな理解力不足の人間のためにもう少し、丁寧にせりふを書いてくれるとよいなぁ(笑)。
    アキラさんは実に細かいところまで観察力があるから羨ましい。

    亀は甲羅を脱がないんですね?(笑)
    サラリーマンが疲れて背広脱ぐのとはワケが違いますよね。
    そういえば、昔、何かの本に「甲羅だけが海辺でみつかることがある」と書いてあったので、モシヤホントかと思った(笑)。

    2010/06/30 14:52

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