明日葉の庭 公演情報 ことのはbox「明日葉の庭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    中高年女性向けのシェアハウスで共同生活をすることになった女性の過去と今後、これからの生き方を見つめた人間ドラマ。入居にあたって過去は詮索しないといったルールはいつの間にか無くなり、それぞれの人生を語り出す。

    公演は、説明にある「高齢化社会を生き抜くため、新しいコミュニティのあり方を模索する人々を描いたヒューマンコメディ」であるが、同時に今でも蔓延っているであろう男女の意識の違い 桎梏も描く。勿論 小さな島における地元住民とのトラブルもあるが、そこは あまり掘り下げない。あくまで明日葉に<明日を生きる>といった意を込めた思いを中心に描いている。人の温かさ優しさ、そして地元(島)の人たちの素朴さ、そんな人間愛に溢れた作品である。
    ただ、少し気になったことが…。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)【team箱】10.23追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、明日葉ハウスの共同スペース(ダイニング)、中央にテーブルとイス、上手は玄関・中央に暖簾 奥はキッチン・下手は階段 へ通じる出ハケ口がある。柱や梁があり簡素な造りだが、物語を紡ぐには十分。

    卑小…先に 気になったことを記すが、それは時の経過が はっきりしないこと。たしかに 暗転させシェアハウスに集まってきた女性達が暮らしに馴染んでいく様子、会話の変化、さらに島の人々とのトラブル等、ドラマは展開していく。しかし「明日葉ハウス」の経営者(管理人)である清野日菜子の衣裳がほとんど同じ・・いつも黄色薄手の上着とパンツルック。主役であるため多くの場面に登場するが、見かけの変化がない。またハウスで暮らす女性達の衣裳も同じようで、時季の移ろいが感じられないのが惜しい。伊豆諸島、都心に比べ過ごしやすいといった(気候)台詞はあるが…。

    物語は、明日葉ハウスに入居した個性豊かで色々な事情を抱えた中高年女性とハウス経営者(管理人)や島の人々との触れ合いや摩擦を通して、新たなコミュニティを形成していく過程を面白可笑しく描く。
    観どころは、入居した女性たちの性格・生き様を語り合うところ。沢木京子(阿部由美恵サン)は、独身で下訳をしていたがペットロスで孤独を感じ、大曽根真紀(荒井ぶんサン)は、有名なインド俳優との叶わぬ恋に破れ、西久保 綾(瀧山貴美子サン)は、酒好きで 離婚3回という男依存症のよう、古谷良美(浅見恵子サン)は、ずっと専業主婦で、夫が亡くなり 息子と同居したが嫁姑の問題、出口久江(秋元和子サン)は、島内巡り・写真撮影・ブログとマイペースな行動、そして樫山智恵子(上村正子サン)も専業主婦だったが…。どこかで見聞きしたような性格や事情を点描し、多様な人生を連想させる。

    最初は距離を置いた関係が少しずつ自己表現する。縁もゆかりもない土地で新たな生活を築くのは、相当な勇気がいるだろう。一人では寂しい、しかし他人との煩わしい関係は避けたいといった心持が透けて見える。敢えて小さな島での共同生活、時にぶつかり合うが、穏やかに過ごしたい。そして台風によって半壊になったハウスを<家>と実感する迄が本筋。

    別に、樫山智恵子は偽名で、夫へ離婚届を置き家出するように行方を晦ませた。その夫がやってきて、口論が始まる。「誰のおかげで食えるんだ」と怒る夫に対し、仕事一辺倒で愛情のかけらも感じられない夫に嫌気がさして…。女らしさ男らしさといったジェンダー問題(ギャップ)もあるが、自分らしさ といった<存在>と向き合うことの大切さが滲み出る。キャリアを目指す女性もいれば、専業主婦として生き甲斐を見出している人もいる。そんな多様な生き方(他の登場人物も含め)を思わせる。例えば、主婦として生きてきた古谷良美を肯としている。本作ではラスト、夫の豹変ぶりに驚かされるが、それでもハッピーエンドとして 上手くまとめている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/10/21 14:53

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