実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
余命宣告された女と男、残された時間をどのように過ごすか といった重厚テーマ。しかし 観せ方は軽妙で笑わせながら考えさせる。公演は、死と どう向き合うかといった普遍的なことを取り上げており、それを当事者だけではなく周りの人々ーー家族や病院関係者(医師・看護師・患者同士)の目も通して描く。人は誰も一人で生きているわけではない、そんな思いが込められたタイトル「(~)とのまわり」であろうか。
余命宣告されたことで家を出る決心をした女 菊池加奈子、どうして幸せな家庭を捨てて姿を消そうとしたのか。男 守屋栄一も離婚し1人になって…余命宣告された者同士の思いは共通し、幸せだったがゆえに苦悩する。その理由が物語の肝。
終末医療、緩和ケアという内容は観応えあるが、それを巧みな舞台技術で支え印象付ける。勿論 余韻も残す。死という悲しみよりは、残り少ない人生(時間)をどう納得いくように過ごすか、といった前向きな描き方だ。テーマの重たさに反して、演出も演技も明るくカラッとしている。気が滅入ることなく、人間観察として観ることが出来る。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 10.9追記