雨の終わりかけに怒鳴りたて 公演情報 劇団東京座「雨の終わりかけに怒鳴りたて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     中々念の入った舞台美術である。しっかり作り込まれ、色彩的にも美しい。照明はほぼ総てのシーンで昏め。注意しておきたいのは上手箪笥の上方に小さいが神棚が在ることである。また、尺が2時間32分と長いので気を付けること。途中休憩は無い。初日を拝見したが、もぎりも暗い。内容に合わせて気の利いたセッティングだ。総てが物語の内容にマッチするように組み立てられているわけだ。華4つ☆(追記2023.10.1)

    ネタバレBOX

     物語が展開するのは、或る廓である。時代設定は曖昧化されているが、概ね江戸末期。というのも登場人物の一人が、矢鱈“エレキテル”と言う言葉を用いこんな言葉が日本で用いられるのは江戸末期、平賀源内が1770年代に長崎で入手したエレキテルを修理して使えるようにしてからであろうから。(正確にはエレキテルという言葉がいつ頃から日本で使われたか調べていないから興味のある人は自分で調べたまえ)まあエレキテルという言葉の多用、これも怪異が登場するから当時としては実に驚くべきもの・こととして受け取られたであろう。時代を超えて続く怪異と矢張り同じように何も見えないのに物質を引きつける静電気を利用したエレキテルは民衆には怪異同様不思議で訳の分からない怪異と見えたに違いない。当然計算づくの遊びであろう。怪異はオープニングで、廓で起こる様々な揉め事や問題を解決してシノギを得ている地回りの山本とその子分に対し圧倒的な力量を見せることでその超能力が並々ならぬものであることを見せつけるシーンから本筋の物語が始まるが、この時狐の面を付けてちょっとギミックな所作で子分を痛い目に遭わせる超能力者の弟分の所作が暗黒舞踏にも少し似て実に効果的に用いられるのも良い。
     さて、物語は、この廓で最もしっかり者で賢く、裁縫や読み書きの才能もあるトキは、妹の麻衣子が高位の武士と恋に落ち剰えこの若侍から是非とも妻に、と言い寄られることに一方で複雑な念を感じながらも廓全体で応援してゆく流れに取り敢えずは協力する。然し相手は武士、それも位の高い、家格の高い家の息子であるから嫌が上にもハードルは高い。当然、数々の困難が押し寄せ。若侍は廓に来れなくなってしまう。これが原因で妹は気がふれた。その顛末を追いながら超能力者二人と納屋にあった廿楽から珍しく高価な菓子や矢張り豪勢な簪類を見付けた遊女たちやお上、廓の男衆にひょんなことから遊郭に雨宿りを頼んだエレキテルと名乗る男。寄って集って菓子を喰らい、高価な簪を自らの物にしようと荒らしまわる。そこへやって来たのは件の超能力者達。来る早々、雷を鎮めて力を見せつけた後、この乱行を皮切りに廓の秘密を暴いてゆく。若侍と麻衣子との恋も、トキの乱心や失踪とその結末も怪異が現れた訳も一つずつ明かしてゆくことで観客は自らの想像力と劇中に鏤められたヒントによって正解を得るが、ここで用いられた超能力を用いて実は或ることが行われていたことがラストで示され幕。
     やや冗長な部分はあるものの趣向は面白く、ギミックな所作も実に良い。

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    2023/09/29 11:05

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