『幸せな時間』『心のかけら』『君へ』 公演情報 T1project「『幸せな時間』『心のかけら』『君へ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     拝見したのは「君へ」。今作も華5つ☆ ベシミル! ほんの少しだけ追記。2023.9.16

    ネタバレBOX

     上演中のMEMORY三部作のうち今回拝見の2作目・「君へ」を拝見。前回「幸せな時間」の観てきたでも述べたことだが、友澤氏の脚本は深い。更に詳しくは後に記すが、彼の脚本傾向について少し語っておこう。
     作品内容が深いということは、本質的だということと殆ど同義である。それは哲理が通っているということだけを意味しない。演劇脚本である以上、それは実人生の様々な経験知を通しても納得のゆくもの・ことの連なりであり、因果でもあるから、伏線の敷き方はそれが結実するまで殆ど気付かれることのない形で提示されていなければならないし、気取られてもならない。
    今回も若い役者が大変活躍しているが、若者の多くがT1projectが主催する24ヶ月プロジェクト修了生であり、今回MEMORY三部作には16名が参加している。
     さて、友澤作品の深さは、このような若手にとって可成りハードルの高いものであったハズである。というのも若さには人生経験の乏しさというのっぴきならない事情があり、人生の深みを本当に理解するには、経験が必要なケースも多い為、良い演技をしようとすれば頭でっかちになりすぎ、間の取り方や台詞回しに不自然な調子や不適当な取り方が出易いからである。多くの役者が極めて長い年月を掛けてこの難問を解決する為に努力するのだが、
    T1project出身の若者たちは、ベテランに対してもと迄はいかない部分があっても、若者ららしい傷つきやすい感じ等が出ており極めて自然で説得力のある演技をものにしている。このようなことが僅か2年で達成できるのは、適格な指導とサジェッションの他に各役者の個別の才を適格に見抜きそれぞれに合った育て方をしてきた友澤氏の力もあったと同時に作品が簡単に理解できるほどありきたりな発想で書かれておらず、演じてみたいと個々の役者に思わせるだけの力を持って居る為だろう。役者のインセンティブがこの作品をやってみたいという個人的な欲求をベースにし得た時、役者は、役を生きることに没入できる。このように基本的なプラス要素が、役者個々人の年齢や人生体験を超えて一つの舞台創造に対しプラスの連鎖を引き起こしているからこそ、素晴らしい舞台を形創っているのである。このことは、舞台美術、照明、音響、小道具に至る迄総てに言えるし、裏方の案内等も理に適っている。以下、今作のほんの触りだけ挙げておく。観て頂きたい作品群である。
     開演前、鳥や獣たちの発する声が流れ、楽曲も組み込まれてずっと流れているのは、今作が私設動物園を舞台にした物語であるからだ。7年前、先代の園長から経営危機に陥っていたこの動物園を継承したのは、歯科医であった現園長の花川慎太郎と妻・凛であった。花川らは私財を擲ってこの危機を立て直したが、それから7年の月日が経ち、動物園は、借金園となっていた。そんな中、園長に「余命3か月」の診断が下された。既に胃のみならず骨に迄転移しており、回復は見込めない。然も園長は尊厳死を望んでいる。このことを巡っても、また借金園となった動物園の今後についても逃れられないドラマが複層的に構築されているのは無論のこと、1人とても興味深いキャラが登場し、物語に先鋭的な緊張感を持続させ続けると同時に、このキャラクターが何故そのような行動を取るのかもさりげなく示されており、これも納得のゆく内容である。
     出演者それぞれの演技力というか役を生きる力が素晴らしいが、脚本に極めて上手に対立項を拵えている(とんがって体験的就業を主張する若い女子)のが、今作の素晴らしい点である。小道具でラストシーンが夫婦の愛の深さを象徴している点も、その演技(田中 理美子さん)も素晴らしい。

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    2023/09/11 12:46

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  •  三浦千佳さま
     友澤さんの脚本が的を射た良い本ということがあります。また状況設定が上手いんですね。で演じる皆さんが役を生きるインセンティブをそれぞれキチンと見付けて、演技というより演劇という世界で(つまり虚構の中で)ちゃんと個性を保ちながらそれぞれの役を生きていらっしゃる、と感じたのです。お年を召した方々はそのような状態で自然に、若い方々もその状態で自然に。これを高く評価しないで何を評価できましょう、自分はコリッチメンバーの5段階評価ではなく、10段階評価にしています。華が付いている方が評価が高いのです。つまり☆華5つ☆が最高点、次点が普通の☆5つ、以下華4つ☆なら4つ☆より上という評価です。お体に気を付けて常に本質を捉え得るよう努力し、世界を良く観察して自分の頭で考え、決して奢らず風の声に耳を澄まし、空の青、宇宙の美しさにも心遊ばせつつお過ごしください。
                            ハンダラ 拝

    2023/09/21 12:09

    ハンダラ様 ご観劇いただきありがとうございました。「君へ」は55overProjectという55歳以上から演技を始めたメンバーと、若手の演技を始めて2年未満というメンバーで構成されました。それでも5つの高評価をいただき、本当にありがとうございます。

    2023/09/21 00:04

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