ノストラダムス、ミレニアムベイビーズ。 公演情報 劇団身体ゲンゴロウ「ノストラダムス、ミレニアムベイビーズ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     誰もが思い当たるふしのある物語だ。3.11を背景に置くことで物語が極めて大きな社会性を帯びた。

    ネタバレBOX

    小学校最終学年6年の地方の小学校の某クラス。大人たちは忘れてしまったような顔をして子供たちは金魚鉢の中で群れを組んで楽しそうに泳ぎ回る仲良しの仲間のようなものだと考えたがる。然し現実の金魚鉢の中は? 強いクラスのボスとそれに追随する者だけが真っ直ぐ前を向いて頭を高くしているのだとしたら? 時期は2012年、前年にはF1人災、大津波、大地震という未曽有の複合災害があった。登場する子供たちの多くが親族や眷属を失くし、トラウマを抱えるなど多大な影響を被っていた。
     ゆきのりの父は行方不明のままだ。母は既に亡くなったと判断している。然もクラスの嫌われ者、りょうのお父さんとの再婚を願っていた。各々の父と母が結婚することになれば2人は兄弟ということになる。当然親は親で自分の子に再婚に対する子供の意見も訊いていた。だが、子供からすれば親同士の関係がどのようなものであるのか? 全く分からない。そこで2人が会うことになっていたある日、親たちの後をつけそれぞれの親が心置きなく笑う様子をホントウに久しぶりに見た。その笑顔は互いの連れ合いを失くした時以来であった。りょうの母は3.11は生き延びたものの父とりょうを置いて別の男と失踪してしまっていた。
     クラスのボスはこうじ、輝いていた彼の兄が失速し強い者の言いなりにされている姿に傷つき自分は決して負け組にはならないと皆に優しかった己を裏切り、暴力的になって皆に君臨していた。女子ではさやを中心に特異な感性を持つまりを虐め毎日いたぶっていた。そんな力関係が逆転する日が来たのはソフトボール大会の勝敗がついた後だった。りょうの発案でそれまで虐められたり弱いとされていた者達のグループと強いとされていたグループに属する者達が対決、勝ったのは弱者と見做されていたグループであったが、これを契機にこうじは、学級委員だがはぶられていたしょうまを自分達のグループに加え、それまで加わっていたゆきのりをはぶった。そして遂には高台に2人を連れて行き飛び降りた者を自分達の仲間に入れると宣言する。しょうまは飛び降りたが認められず、その不正に怒ったゆきのりも飛び降り、認めないのならこうじ自身が飛び降りてみろ! と迫る。こうじは怯んで飛び降りることができず、腰抜けであることを晒した。
     以上のようなことがあった後、りょうとゆきのりは試合に勝たない方が良かったと主張するゆきのりと関係を変えたし練習をしてフェアに戦って勝ったことを是認するりょうは会話を絶ち二度と会話を交わすことなく、話ができないのなら手紙を出す、とのりょうの提案も蹴ったゆきのりであった。りょうからの伝言はゆきのりの母から伝えられた。りょうの父とゆきのりの母との再婚話には反対であること。それはゆきのりも同意見であること、りょう父子は祖父の下へ行き祖父と共に暮らすことになったこと。
     その後、りょうは交通事故で亡くなった。

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    2023/08/11 01:55

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