Zyklon B (再演) 公演情報 Voyantroupe「Zyklon B (再演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    それぞれの正義
    過去に観た「劇団 海賊ハイジャック」の公演の中で一番の熱演だったと思う。ちょっと噛んだキャストやかちゅぜつの悪い箇所はあったものの、まあ、生身の人間だから、仕方がないかな・・、とは思う。舞台のセットがキャストらを大きく見せていた。音楽、照明、演出・・・どれをとっても秀逸だった。それにも増して、いきなり衝撃的なシーンからの幕開けは芸術的だった。
    余談だが制作さんの前説はモヒカンに似合わずガチガチに緊張しており、かわいらしかった。笑

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    アンリ・バレリ大尉はユダヤ人たちを救った功績から「諸国民の中の正義の人」として賞賛を得た。しかし、その影には人肉を喰らう殺人鬼・ウォレスが兄・アンリの全ての罪をかぶった由の上に成り立った事柄だった。それはアンリがユダヤ人亡命の手助けをした時に彼らの財産を自分のものにしたことだった。

    これを知らない町民は、 彼を英雄と慕うなか、一方では影の英雄が存在していた。おりしも、突如として町に異国の女が現れる。 彼女の名をヴィヴィアンという。彼女は特異な体質を持ち、女に近づくと 死ぬという。物語の後半で解明されるがヴィヴィアンはチクロンB(毒ガス)の後遺症によって、このような体質になってしまっていた。だから彼女はずっと孤独だった。こんな彼女を2mの長さの鎖で繋ぐウォレス。

    奇異な事件と殺人鬼の恋を絡ませながらも、ウォレスが結果的には異国の女・ヴィヴィアンを拉致し山小屋に監禁しながらも町民とヴィヴィアンを守る。

    チクロンB(毒ガス)の謎や軍の不正、Drモンローの考えや行動、犠牲になった人からのワクチン採取など物語は怒涛な展開で、息もつかぬまにまに時間を忘れさせ、特異な空間へと誘う。不条理を噛み締めながらも折れるティファニー大尉の表情が忘れられない。そうして、ウォレスの最後の死の場面、絵画のような情景はキリストの死となぜか重なり美しく気高い絵だった。

    見事な演出と頑張ったキャストら。拍手を送りたい。素直にそう思う。

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    2010/06/05 13:42

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