瀬戸内の小さな蟲使い 公演情報 桃尻犬「瀬戸内の小さな蟲使い」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

     白と黒の天板付き骨組み箱馬2体を縦に組み合わせ連結した道具を出演者1人が1個ずつ持つがオープニングで並べられているのは2体のみ。天板の色は一体の上が白ならば、隣のもう一体の方は黒、一体の上下は上が白なら下は黒。2体並べられた時は隣の一体は上が黒、下が白。こんな所にもオシャレなセンスが息づいているのは舞台の醍醐味だ。出捌けは上手奥の袖と下手ホリゾントに設えられた幕開口部の2カ所。基本的に素舞台。この条件から、内容は、役者陣の演技、演出の良さ、会話劇の仕上がりの良さに依存していることが分かる。華4つ☆

    ネタバレBOX


     物語は2パートに分かたれ、柔らか目な表現で進行してゆくが設定は可成り特殊である。神戸に在る遊園地の大型遊具・フリーフォールの類で事故が起こった。利用客は既に4時間地上50mでストップしてしまった遊具の支持機構に支えられた状態である。
    一組の男女カップルが何か話している。無論、脚本の展開はおしゃべりしている場面から始まる。男の方は前向きであるが、女の方はやや別の何かに気を取られているような感じを受ける。暫くすると肩口に取り付けられた何等かの器具が意味する所がハッキリして来、上に述べた状況であることが観客に伝わる。実はこのカップル、瀬戸内に面する地域に住む男の実家へ行く途中なのである。ところが本来結婚に繋がるハズの男の実家初訪問は、真逆の結果に終わる。この経緯が暴かれる過程が、新たに登場する他の登場人物(同じフリーフォールに乗っていた客と遊園地従業員)との対話によって明らかになる。そこにはシリアスな破綻を揶揄するかの如き効果を発揮する笑いの種もふんだんに仕込まれているが、どこで笑うかは観客の知的位置や想像力の質に拠るのは無論のことだ。何れにせよタイトルに直接通じるのはカップルの結婚話が無に帰した3年後、振られた男の地元で起きて居た状況を描くシーンに継承されてゆく。この顛末がどうなったかについては上演中のことなので明らかにしないが、蟲師とは古来陰陽師などとも共同し蟲を用いた呪術等を担っていた。そして使われる蟲たちは、元人間だったと考えることができるような内容でもある。蟲にされる前に獲物とされた人間はダウンサイジングが施されるのだ。子供なら本当に怖がる恐怖を実際に感じられる。

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    2023/06/23 22:53

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