人魂を届けに 公演情報 イキウメ「人魂を届けに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    冒頭が素晴らしい。 暴力を見逃したために1万円をもらって 魂の一部を「押し買い」される。 魂は失う、「これは比喩ではない」という メッセージであり、本編の予告編。男・八雲(安井順平)が森の中の 一軒家にたどり着く。 そこには 不思議な 家族が暮らしている。 お母さん (篠井英介)に 男は 「息子の亡骸 を持ってきた」という。「その亡骸とは魂だ 」「声が聞こえる」という。 男は 拘置所の刑務官で、 息子は死刑執行された、多くの人が死んだ 悲劇だという。ここから少し 奇妙で多面的な話が始まる。

    お母さんは森の中に自殺しに来た人や、野垂れ死にしそうになった男たちを見つけ出したは、この家に連れてきていた。 キャッチャー イン ザ フォレストという 当然 キャッチャー イン ザ ライ を連想させる。 ホールデン少年が 汚れた大人社会から無垢な少女を守る存在だとすれば、 お母さんは 腐敗と侮辱にまみれた社会で 傷つき 落ちこぼれた男たちを守っている、と言えるだろう。 そこにこの 作品のモチーフを見ることができる

    連れてこられたのは みんなからバカにされて自殺しようとした男(大窪人衛)など。

    刑務官の知り合いの陣(盛隆二)という男をやってくる。陣は実は公安で この家はテロリストの巣窟だという。 お母さんは 書類改ざんで自殺した男の妻で、自分の恨みを 助けた男たちに伝え社会に戻してテロをさせていると。 ここにも 無差別殺傷事件が 目立つ 今の日本のフラストレーション が感じられる。

    ネタバレBOX

    息子の魂の話は 消え、 いつのまにか 男の身の上話になる。息子の行方不明、妻の家出とそのトラウマの話。そして男は、ライブ会場で銃乱射した歌手の 銃弾に右膝を打ち抜かれびっこになった。 この歌手が お母さんの息子だという。息子は刑死なのか、自殺なのか、そこは「藪の中」のようにわざとずらしてあった。

    とにかく最後、 男は 僕も社会に戻ったら拘置所のキャッチャーになるという。落ちてくる 受刑者を受け止めるキャッチャーに。どういう意味だろうか。刑死者の魂を救う受け止める というのか、死刑から救うということ。現代社会の病と闇んいつながる、印象的なフックを多く持ちながら、最後まで謎に満ちた作品というしかない。

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    2023/06/05 17:15

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