「リトルGK~THE LAST~」 公演情報 演劇制作体V-NET「「リトルGK~THE LAST~」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     演劇制作体V-NETのアトリエ公演だが、ここ柴崎では最後の公演となる。リトルGK~THE LAST~と銘打たれた今公演、テーマは“会議室”だ。長めの前説と30分程の作品2本(「黒須会議」、「因と縁とがあるものそ」)を間に10分の休憩を挟んで上演した。尚観客は2本の作品を観て優劣を投票で評価する。2作品共に5つ☆

    ネタバレBOX

    「黒須会議」
    世界征服を企む怪人たちの組織、黒須VS人々を護る組織、ジャスティスの闘いはずっと続いてきたが、3月の戦闘で怪人組織・黒須の総帥が破れ、命を落とした為組織は新たな総帥を選ぶべく会議を開いている。物語は、この会議室で展開する。新総帥候補は2名。どちらもその候補たるに充分な実力を具えた人物であるが、問題が1つある。互いにそれぞれの派閥の長であり且つ犬猿の仲であることだ。どちらが新たな総帥になっても黒須自体が分裂し力が半減することになれば怪人組織そのものが存亡の危機を迎えかねない。対するジャスティスのメンバーは極めて手強い。亡き総帥の幼馴染でもあったNo.2は新総帥になる気が無い。然し彼は、秘策を用意していた。第3の新総帥候補である。会議は進行するにつれて混迷の度を増し建設的であるというより泥仕合となりかけた刹那、No.2は第3の候補を招き入れた。観た所、若造で体も小さく大きな戦闘力を具えているようには見えない。直ぐに査問が始まった。
    結果は観て頂くとして、二転、三転、四転と思いがけない展開が続き、結末のどんでん返しも見事な展開、笑わせる工夫も随所に仕込み随所に知恵を散りばめた脚本が良いこと。2作品共通で用いられる舞台美術の構造は良く考えられており、その使い方が上手いので実に良く機能していること、役者陣の演技、演出の良さ、照明・音響の上手さも相俟って流石にラビ番とも繋がりの深いV-NET作品に仕上がった。
    「因と縁とがあるものそ」
     こちらは別の意味で知恵を感じる作品であった。物語は新作の制作現場である。脚本家、プロデューサー、ディレクターが侃々諤々の討議をしているが、互いの罵り合いになってしまって一向に話が煮詰まらない。毎度のことなのであるが、どういう訳か、この3名が組んだ作品は必ずヒットする。今回は、アシスタントディレクターが不思議な人物を連れてきた。極めて優秀は催眠術師である。他の番組にレギュラー出演している人物であったが、会議中の3名は、この女性催眠術師の実力を信じることができなかった。そこでアシスタントディレクターは、彼女に頼んで各々に術を掛けてもらう。忽ち彼女の実力が本物であることが判明し、3名がこれほど相容れない原因として前世に原因があるのではないかということが考えられた、果たしてそれが正しいか否か、彼女の催眠術を用いて3名各々の前世を探ってみると。予測通り前世の確執が現世の不仲に影響を与えていた。然るに前世に於いてこのような因縁が現れるということは前々世に於いても悪縁があったと考えられる。そこで更に前世を遡ってみると予想通りであった。詰まりこのままでは永遠にその前に遡らねばならないことになる。完全なトートロジーの罠に嵌ってしまう訳だ。
     一般に論理の展開というものは、そのオーダーを決めて仕舞えば、その後の展開は先鋭化する他に無い。これがトートロジーの罠に嵌った原因である。ここから抜け出る為には発想を転換する知恵が必要となるのだ。その転換を今作の脚本家は見事にやってのけた。その鮮やかな手並みに応え、役者陣の演技も良く演出もグー。こちらも流石V-NET作品と感心し、自分の評価はドロー。イーブンとした。

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    2023/03/26 14:04

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