アメリカン家族 公演情報 ゴジゲン「アメリカン家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    誰もが欠陥を持ってる集団
    とでもいおうか、ここに登場する全部のキャラクターが何かしら問題を持っていて、分かり合えない。そんな感じ。家族って集団は一人でも常識ハズレが居たなら、家族というダムはあっけなく決壊する。

    以下はネタバレBOXにて。。

    ネタバレBOX


    ママが出て行ったけれどとりあえず、家族をまとめようとするパパは次男の誕生日祝をいつものように家族全員で祝おうとする。しかしそこには肝心のママが居ないから味気ないし楽しめない。母親が居なくなった寂しさに心が壊れそうな子供たちはそれでもそれぞれのテリトリーで踏ん張る。ママが出て行ってしまった元凶はパパだったが、そのことに抗議できない3人の兄弟たちは、少しずつ穏やかに崩れていく。自分にとって良い事が家族にとっても良い事だと勝手に信じ込んでしまう父親。対比して兄弟の胸にわだかまっている重苦しい霧は晴れることはない。

    最後の最後まで彼らは父とは分かり合えないんだろうか・・・?なんて考えながら観ていると、家族の崩壊の原因は父のせいだと思い、父は子供たちが悪いんだと決め付けて「わかりあえなかった」ということすら、彼らはわかりあえないようだった。

    ママが出て行った理由は、パパとママがママの書いた小説のことで喧嘩して、パパがママを殴ったからだという。しかし、こと夫婦に関してはそれだけではないような気がしてならない。沢山の我慢の積み重ねが、「もうこれ以上重ねられません!」といってピコピコ赤信号が点滅する時には修復不可能なことが多い。

    父親と子供たちの関係だって、言葉では言い表せない。知っている言葉をどんなに組み合わせても気持ちとぴったりにはならない。辞書をひいても、本を読んでも、ああこれなんだ、という言葉には出会えない。だから説明するのは勿論の事、彼らの気持ちを言葉では覆いきれないところが必ず残って、どうしても言葉が届かない。この物語は他人を省いた家族の部分はノンフィクションだという。

    当時の松居の心境を思うと、いたたまれなくなる。逃げたくなくて負けたくなくて、誰にも何も話さなかった末に、もっと深いところで逃げてしまう。だけれど、逃げていいのだと思う。逃げられる場所のあるうちは、いくらでも逃げていい。負けてもいい。ずうっと勝ちっぱなしの奴なんて世界中どこにもいやしない。みんな、勝ったり負けたりを繰り返しているのだから・・。

    それでも舞台は終盤、迷惑な他人を追い出すことで家族の結束や絆をも表現して終わらせる。そうしてどうやら3人は母の元へ行ってしまうようだ。考えさせられる物語だったけれど、それぞれのキャラクターの立ち上がり方が絶妙で、案外、笑えた。パパ役の島田の狂言のようなセリフとダンスが良かった。シリアスコメディとかブラックコメディみたいな協奏曲!(^0^)


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    2010/05/02 18:25

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