ビヂテリアン大祭 公演情報 ピーチャム・カンパニー「ビヂテリアン大祭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    滑稽なまでの大芝居!(^0^)
    宮澤賢治の「ビヂテリアン大祭」を実に忠実に滑稽に描写しながらも、客席全体を大祭の会場と化すことで観客を強引に巻き込んだような面白い舞台だった。
    当初、観客の誰かが、意見を述べたのだろうか?とあっけになったほど!笑


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    「ビヂテリアン大祭」とは菜食主義者たちの世界大会の報告という形で発表された作品。作品には賢治の独特の生命観、宗教観とともに滑稽なまでの畜産組合との演説合戦、論説闘争での言葉の魅力を伝えています。 セリフの一つ一つにユーモアが溢れており、愛しくなるほど。

    ビヂテリアンらは菜食主義者(菜食信者)と肉食異教徒の論争を通して肉食の是非を議論するも議論の相手を論破するために選ばれたテーマは多種多様で、相手を負かしてやり込める為に、ない知恵を絞る。一見、難しそうにみえる論理もよくよく聞くと小難しい言葉を並べただけのマインドコントロールというマジナイみたいなもの。笑

    そんなだから力で相手をねじ伏せるのではなく、難しそうな言葉の羅列で相手の頭脳をこんがらがらせて、その隙に自分を優勢にしようとする、一見にも二見にも卑怯な手法だ。笑

    ビヂタリアンらは肉類と野菜の消化率、味覚の比較に始まって、さらに殺生の是非、人口増加と食糧資源の問題、動植物を区別することの是非、キリスト教と仏教の見解の相違、輪廻の問題とどんどん、どんどん推移して、がんがん、がんがん敵を錯乱させる。笑

    やがて、迷える子羊にはこれしかあるまい。と言わんばかりに赤の野球帽をちょこんと乗っけたジッチャマが登場する。山伏のようなそのナリはどこをどーみたって、霞を喰って生きてるような老衰手前の白装束の老人で、「よっ!翁!」なんつって合いの手を打ちながらついでに願もかけちゃうと恵がありそな雰囲気。その名をヨハネ・マルコ・ペテロルカ16世などと美味しそうな名前で襲名披露みたいに呂律しながらも、その白っぽいジッチャマは大層偉そうな事を民衆に向かって演説する。笑

    そんな中、フランドル農学校のヨークシャヤなどというヨークシャテリアのような愛くるしい名前の豚さんを主役に引っさげて一発こっきりの大芝居を打つ。この芝居たるや、人間よりも演技が上手いのだから「恐れ入りました。」と慇懃に頭を垂れるほかないのだ。そんな主役級のヨークシャヤをブクブクと太らせ終いに喰っちまおう!ってんだからフランドル農学校のヤツラと来たら鬼のような輩たちだ。

    その鬼にも「鬼に金棒」のようなお上からの命令が下る。「家畜特別同意調印法」なる、豚さんにもト殺する際には拒否権がありますよ。ですから「死亡承諾書」を貰ってくださいね。なんつー、豚さんにとっては黄金の金棒を手に入れたようなものだ。しかーし、フランドル農学校だって、そんなアホではない。言いくるめて強引に豚鼻なる印を押させ、書類には赤々と輝く豚鼻の朱肉が自慢げにどっか~んとハートのような形でのさばってるではないか。

    ビヂテリアンたちは一斉に「可愛そうだ!、可愛そうだ!」を羅列し叫びながらも、そこにはおおまじめな議論とともに、全てをビヂテリアンのビヂテリアンによるビヂテリアンの為の大祭だった事を知らしめ終わらせる。

    ユーモラスで人間味あふれる反応も見られて、尚且つ怒涛の勢いでまくしたてる論説に大いに笑った。とにかく飽きない。色んな要素がギュッと詰まったお祭り騒ぎ!(^0^)
    楽しかった。滑稽な大祭。


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    2010/05/01 17:57

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