The Reed 公演情報 犬猫会「The Reed」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     板手前やや上手に葦を模した細工物。似たような物が板上に適度距離をおいて置かれている。物語はこれら葦の生命力に依拠する集団と葦の生命力の源であるその地下茎が吸いあげる命の水、そして不思議な存在・ソ。ソを射る者たちとその長、葦の管理等をする長、そして葦の世界とソの世界を結ぶ世界を差配する長らとのコラボレーションによって成り立っている。

    ネタバレBOX


     ところで、このソという「存在」少し厄介である。恐らく今作の劇作家は量子論に興味があるに違いない。一般に膾炙されている量子論では量子は観察者によって初めてその存在を明らかにしうるものの観察された瞬間に何処かへ行ってしまう。つまり観察者の観察するという行為そのものの影響を受けて質量が余りに小さい量子は変化を受けるのである。また、量子の振る舞いは古典的な物理学では理解できない。この辺りの物理学が理解できていないと観客はこの時点で本質的に物語の埒外に置かれてしまう。その懸念から、今作は神話展開を図ったのだろうが、その展開の仕方が量子としてのソとそれを射ることによって地上に生命を齎し実りや生産物を齎すことと直接繋がりようがないことが作家に分かっておらず、葦が吸い上げる命の水の齎す生命サイクル神話であるかのように組み立ててしまった点に今作の弱点が存する。論理的に明快な繋がりが無いからである。
     役者陣は可成り頑張っているし、懸命にこのギャップを何とか埋めようと頑張っているのだが、その溝は埋まり切る訳がない。
     作家は、量子物理をもう少し勉強して、この弱点を克服すると同時に、生きることの意味を明らかにする為にももう一度我々ヒトは何処から来て何処へ行くのか? ヒトとは何か? を問い直し更に先へ進んで貰いたい。

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    2023/03/12 11:09

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  • やまねこさま
    ハンダラです。コメント有難うございます。
    返信が遅くなり申し訳ありません。
    それにしても、素敵なハンドルネームですね。
    ご挨拶まで。
                

    2023/03/16 17:15

    ハンダラ様
    ご来場、ご感想ありがとうございました!

    2023/03/14 16:39

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