夕焼けとベル 公演情報 カムヰヤッセン「夕焼けとベル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    罪深い島
    初見の劇団。作・演出の北川大輔は、去年のクロムモリブデンの公演「不躾なQ友」で、帰国子女の刑事役を演じていた大柄な人。今回は出演していないが、刑事ドラマの要素が入っているところがクロムの芝居との繋がりを感じさせる。しかもかつてクロムモリブデンのメンバーだった重実百合が出ているので、ますます因縁を感じさせる両劇団の関係。

    ネタバレBOX

    ストーリーはけっこう面白いが、描き方にはちょっと変なところがある。

    ある離れ小島が舞台。冬には雪も降るらしいから南のほうではない。たしか北陸だといっていた。いずれにしても架空の場所。島内の一区域には、独自の風習を持つ下賎なものとみなされている部落がある。
    ローカル色を出すために、一部の役者は方言をしゃべっていた。しかもドラマの中の人物関係を無視して九州や関西の方言がアナーキーに入り乱れる。たぶん役者の出身地に合わせて彼らが得意な方言をしゃべっていたのだろう。親が九州弁なのに娘が関西弁をしゃべるというような場面があった。
    にもかかわらず、それが芝居を楽しむ上であまり障害にはなっていないというのが逆に不思議だった。

    島内の特殊地域では、近親相姦によって父親と娘の間に子供が生まれることも珍しくない。姉妹のうち、妹はそうやって父親の子供を産み、産めなかった(産めない体だった)姉は島を出る。この辺のおぞましい土俗的な雰囲気は、劇団乞局の作品を連想させる。
    都会へ出た姉がやがてテロリスト?になり、事件を起こしたあと仲間とともに島へ逃走してくる。たまたま旅行で島に来ていた女刑事がそれに気づくが、島に駐在する警官の家族が人質になる。

    奇妙な形の舞台装置。畳を敷いた座敷ふうの舞台の三隅に柱が立つ。座敷の周囲は海岸めいた岩場。さらに三方を客席が囲んでいる。話の展開にしたがって、舞台はいろんな場面に変わる。座敷として使われているぶんには別に変だとは思わないが、次の場面では土足のままで登場人物たちが畳の上を歩いたりするので、もう少し抽象的な、いろんな場面に応用可能なセットのほうがよかったのではないだろうか。

    出演者は14名。そのうち知っているのは重実百合と劇団競泳水着の川村紗也だけ。川村は競泳水着の前回公演に続いてちょっと怖い役を演じている。いっぽう、重実は小学生の子供役。これはあくまでも非常に個人的な印象だけど、なんとなくナイロン100℃の犬山犬子に似ている気がした。

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    2010/04/05 23:37

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