ことりとアサガオ【舞台写真UPしました】 公演情報 三角フラスコ「ことりとアサガオ【舞台写真UPしました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    作家独自の美意識が息づく三人芝居
     太宰治の短編小説「燈籠」をモチーフにした三人芝居。原作があるとはいえ、セリフに「コンビニ」「週刊少年ジャンプ」などが出てきますし、設定も大幅に変わっているようで、現代を舞台にした新作と受け取ってもよさそうな作品でした。全編に作・演出の生田恵さんの美意識が息づいており、エンディングに静かな思索の時間としての余韻が残りました。

     ただ、美術や照明などの空間全体の演出にはまだ上が目指せる余地があるように思いました。劇場の舞台の横幅が広いので、客席との緊密な関係が生まれづらいのもあると思います。東京でいえばアトリエ春風舎(約50席)のような劇場で拝見したかったですね。

     生田さん、プロデューサーの森忠治さん、福島の劇団満塁鳥王一座の作・演出家である大信ペリカンさんの3人によるポスト・パフォーマンス・トークで、色んな謎が解けて大変助かりました。生田さんは「別役実研究会」という名の会を開き、月2回、別役戯曲を読んでいるとのこと(もう13本は読まれたそうです)。作家さんはお2人とも別役さんやイヨネスコなどの不条理劇に興味があるそうで、貪欲に戯曲を研究されているのが素敵だなと思いました。

    ネタバレBOX

     咲子(瀧原弘子)は種を植える、石を置くなど、何かを象徴するような行動をしますが、果たしてそれが何を意味したのかがわかりませんでした。努(小濱昭博)との関係も私にはよくわからず。2人が口にした“マコトくん”とは彼らにとってどんな存在だったのかしら。物語が立ち上がるための布石というか、ヒントが足りないように思いました。

     鉢を頭に被り、はおりを着た奇妙な男(真田鰯)が登場します。彼の役名は作家。でも作家らしい振る舞いや言動はなく、その役名も何かを象徴しているのだろうかと想像しましたが、私にはヒントが少なすぎました。作家が立ってぐるぐる回転しながら長いセリフを言う場面は面白かったです。

     色とりどりの照明が家(?)の白い壁を裏から照らすのが美しかったです。詩的情緒あふれる無人のシーンでした。

     ※終演後のトークで話してくださったのでわかったことですが、原作の咲子は両親のもとで暮らす25歳の女性とのこと。でも今作では両親は亡くなったとされていましたので、『ことりとアサガオ』は生田さんが創作された新作と解釈していいだろうと思います。

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    2010/03/16 16:11

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