ケージ 公演情報 慶應高校・女子高校演劇部「ケージ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    怪物を見た思い
    1969年の全共闘を生きた時代の若者と現代を生きる若者が交差する舞台。一見するとシリアスそうに見える物語に須藤というキャラクターを設定する事で癒しの効果を引き出す。誰でも須藤のようなキャラクターは嫌いじゃない。観てるだけでホッとするからだ。このキャラクターの味を存分に魅せつけ笑いの誘い水にする設定は流石。
    そうして・・とにもかくにもストーリーが素晴らしいと本気で思う。このところ、全共闘を題材にした舞台は数多く観てきたが、ここには希望とロマンがあった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    楽のせいか、超満員!桟敷席もとことん前まで出してぎゅうぎゅうの会場。これはもう、酒井としては嬉しい限りでしょう。

    物語は40年前の全共闘の学生3人と家出をしてきた現代の高校生ら3人が同じ部屋で鉢合わせする。しかし、どうも様子が変だ。現代の高校生らは全共闘3人に触れることが出来ない。この様子から、彼らは2009年の現代にこの部屋の室内で時間軸が混乱したかに考えた。40年間の時を越えて互いに見えるようになった設定だ。しかし、これは啓示上の存在だと悟る。つまり2009年に異なる時代が存在するという事からお互いの時代に干渉することは出来ない。

    いあいあ、この感覚、ものすっごく楽しいでしょう?当然ながら、物語は40年前の彼らがどんな事を考え、どんな思想に基づいて行動したかも炙り出す。一方で現代の高校生、特にクールな姫岡は彼らに「妄想や理想に取りつかれて現実を見てない」と指摘する。「いつの世も人間が国を構築する以上、欠陥のない管理体制はないのだ」と、悟ったようなことをのたまう。しかし正論だとも思う。姫岡のキャラクターを通して作家の酒井は哲学的な言葉をも吐かせる。その頭脳にとことん驚き仰け反りシビレル。これは本当に高校生が作った本なのだろうかと・・。

    確かに世の中には、あがいてもどーにもならない、仕方がない事がいくつもある。そして人々は悟る。しかし、酒井はどうやら、このあがくという行為を自ら実践してるようだ。その挑戦は苦しみなのだろうか?いあ、酒井だけではない。舞台演出家や、作家や、小劇団主宰らは、みんなあがいているのだ。昨日も、今も、これからも・・。

    躁の時代があって鬱の時代がある。しかし人間というやつはいつの時代も似たようなことを繰り返すのだ。だから、この次には必ずと言っていいほど躁の時代が来るはずだ。

    良い大学を出て良い会社に就職して、出来たら結婚して、そうやって少しずつ死んでいく。何も考えずに生きるか、行動の理念を掲げて打ちのめされるかのどちらかだ。「理想なんて持たない方がいい。現実に打ちのめされる・・。」とも姫岡に吐かせる。そんな現実的考えに「沈んでいく世界を救えるのは俺らだけなんだ。」と信じる全共闘のリーダー・薙乃のセリフが物悲しい。

    お互い違った時代に生きた6人が終盤になって見せる友情は血の熱さを感じた。熱血な全共闘3人と現高校生の醒めた対比も面白い。この部分は「僕らの好きだった革命」と似てる風景だ。

    全共闘らはこの時点でも民衆を動かせると信じていた情景も哀しい。なぜ民衆を動かせると信じていたのかもワタクシの時代にいわせると不思議で滑稽だ。それでも全共闘2人は自分たちの死んだ後の世界の現実を見なかったのはせめてもの救いかもしれない。まったくもって民衆は動かなかったのだから。

    この物語には神様の啓示的な言葉が散りばめられており観終わった後に、「頑張ろう!」って生きる希望を見せてくれる。そういう気持ちになれる。

    とりあえず今日一日を頑張ればいい。あまり先を考えると長いから。でね、今日一日頑張ったね。エライゾ!って自分を褒めてあげる。そして明日も頑張るぞ!って自分を認めれば何かが変わる。
    そう・・、少しずつ頑張ろうね。少しずつ頑張って自分の人生を好きになろうねー♪

    2

    2010/03/14 16:59

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  • あきら>
    高校生と思えないほどの物語でした。こういった芸術ものって、努力だけじゃあないんだな。ってつくづく感じましたよ。やはり才能ですね。音楽家だって、絵描きだって誰にでもなれるものじゃあない。最後に知らしめるのはやはり才能なのかと・・。
    なぜ、神はワタクシにそういった特別な才能を与えなかったんでしょか?今でも不思議ですよ。
    ですから死後の世界に行ったら真っ先に神に会いに行くつもりです。
    待ってろよ、神!


    2010/03/15 12:00

    ベタぼめですね(笑)。

    いやー観たかったなあ。
    近いから、ちょっと時間ができたら行こうかと思っていたけど、結局行けませんでした。
    残念です。

    2010/03/15 06:36

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