たゆたう、もえる 公演情報 マームとジプシー「たゆたう、もえる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    暗闇の中から立ちのぼる家族の記憶の糸、それは過去から未来へと連綿と繋がる赤い糸
    美しいシーンが舞台の暗闇の中から浮かび上がる。

    どの登場人物も魅力的で愛おしい。
    笑いも織り交ぜながら、家族の姿を浮かび上がらせていく。

    感情が高ぶり、ぶつかり合っていても、とても豊かな物語が編み上がっていく。

    ネタバレBOX

    赤い糸は「血」。
    「血」で繋がる家族たち。
    血で繋がる家族だからこそ、近い関係だからこそ辛いことがある。
    逃れることはできない。

    たとえ一時は離れていようとも、次女が帰ってきたように、必ず戻ってくる。
    赤い糸に繋がれているので、それを頼りに戻ってくるのだ。

    赤い糸を解き、赤い糸を編んで作り上げるのが家族だ。
    「家」を作り上げていくには時間がかかるが、壊すのには時間がかからない。
    それは百年あった家が5日で更地になるように。

    しかし、建物である家と違い、人と人がつくる家族は、思ったよりも強くしなやかだ。孫娘の編み物に象徴されるように、たとえ一時は糸がこんがらがっても、「家族」という作品が編み上がっていく。

    家族は、逃れることができないという枷にもなるが、最後に戻ることのできる場所でもある。

    言い合うことができる関係は、決して単純に壊れてしまうことはない強さを秘めていると思う。

    舞台の上から何着も編んだ作品が下がっているように、家族の歴史は連なっていく。昔も今もこれからも。

    舞台の中央にライトが当たり、周辺は薄暗がりとなっている。
    「闇」というには、ほの明るい場所、暗がり。
    その暗がりの場所は、まるで頭の中に残る記憶のようで、ほんのりある。

    役者たちがそこに佇む姿は記憶の中の姿だ。
    忘れているようで、実は記憶の中には像が残っている。
    記憶の積み重ねが「家族」を形成する。
    記憶の積み重ねが、互いの繋がりを確実にしていく。

    美しいシーンが舞台の暗闇の中から浮かび上がる。
    それはまるで記憶の中から浮かび上がるように、すっと現れ、すっと消えていく。

    印象的で、美しいシーンが連なる。振り返る妹のシーンもいい。
    そして、特にラストが美しい。
    台詞の中にあるシーンは実際には見ることはできないのだが、まるで目の前にあるように光の中に浮かぶ。

    たゆたう家族は、捨てられた子猫が危なげに儚げに箱の中で揺られて行くように見えて、実は、ラストの船のように、揺れながらも、輝く向こう岸にたどりつくのだ。



    どの登場人物にも、印象的なエピソード、シーンが用意されており、すべて台詞のやり取りが見事。姉妹の関係は、やや頭の中で作られたように見えてしまうところはあるのだが。
    早い場面展開や繰り返しの中での役者の立ち位置、姿が素晴らしい。
    もちろん、脚本の素晴らしさもあるのだが、それをよく昇華させていたように感じた。

    特に長女の、子どもから学生、そして母となったときの、台詞と動き(重心の置き方など)が素晴らしい。腰で立つ、母となった姿で「起きろ」と言われると、自分の学生時代に戻ってしまうぐらい。

    おばちゃんと、先輩(たくあんのエピソードはややベタながらも、ぐっとくるものがあった)は、家族の物語には直接の関係はないものの、とてもいい味を出しており、物語に奥行きを加えていた。

    そして、テレビがない家やフラフープがどこか昭和の香りをさせていた。

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    2010/02/16 06:12

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  • みささん

    コメントありがとうございます。

    そして、過分なるお言葉感謝いたします。
    褒め過ぎですって(笑)。

    表現方法ですが、時間が登場人物を中心に交錯するという意味では、先日観た「モダンスイマーズ」でもありましたし、時間の前後プラス、台詞の繰り返しということでは、「劇団競泳水着」にも雰囲気が似てました。
    そして、それらに共通しているのは、素晴らしい舞台だったということです。
    めまぐるしい演出とそれを表現した役者の力量が現れていた舞台だったと思います。

    とにかく、良かったですよねぇ。

    >ここの劇団は初見でしたが、こんな芝居を観ちゃうとまだまだ発掘されない実力のある劇団は数多いのかも・・・。

    1年間舞台を見続けても、初めて見る劇団のほうが圧倒的に多いですから。そして、見るたびに個性的な劇団を発見しますよね!
    ま、「発見」と言っても、こちらの都合だけで、劇団から言えば、「前からあるよ」ということなんでしょうけど(笑)。コロンブスがアメリカを「発見した」的なとでもいうか(先住民から言えば、コロンブスに発見されなくても、ずっとあったよということで・笑)。

    >やっぱ、200になっても死ねないな。笑

    さらに毎年いくつもの劇団が生まれますからね。

    2010/02/18 07:45

    素晴らしい!実に素晴らしい感想です。何がいいって、ホント全部いいなー。
    そのへんの作家や評論家より素晴らしい文章ですね。
    いあいあ、だからワタクシ、あきらさんの書くレビューは大好きですよ。
    そして同じものを観た後の感想って、内容を解ってるだけにそれぞれの視点の違いもはっきり浮かび上がって、「ああ、そっちか・・。」なんてほくそ笑んだりします。
    そう、確かに赤い糸は血の繋がりでしたね。
    そして、ここに登場する人物の全てが本当に身近に感じられて、好きになりました。

    独特の表現方法(演出)も素晴らしかった。ワタクシにとってはとても斬新でした。
    ここの劇団は初見でしたが、こんな芝居を観ちゃうとまだまだ発掘されない実力のある劇団は数多いのかも・・・。
    やっぱ、200になっても死ねないな。笑


    2010/02/16 13:37

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