満足度★★
体感する舞台故に
昔も今も、どうも寺山作品は食わず嫌いで、敬遠しがちですが、今回は、森田剛さんと寺島しのぶさんに興味が湧き、観に行きました。
寺山作品は、頭で理解するより、体感する芝居だと、私は勝手に認識しているのですが、窪塚さんの演技には、まだ迷いが感じられ、寺山を感じさせるだけのパワーには欠けていた気がしました。
その意味で、寺山を、肌で感じさせるパワーが一番漲っていたのは、少年役の大橋一輝さんでした。
寺島しのぶさんは、独白の時の台詞が凛として、言葉の持つ意味が心にダイレクトに浸透し、さすがだと思いました。
でも、一番、私の心に響いたのは、森田さんの、演技者としての力量の確かさでした。核とした信念を持てないままに、兄のように慕うテロリストに、迷いつつ追随して行く17歳の青年の危うい生き様が見事に体現されていて、改めて良い役者さんだなあと感嘆しました。
キャスト陣は、皆さん個性的でしたが、演技者としての力量にバラツキがあったのが残念でした。