満足度★★★★★
杞憂でよかった!
実は、フライヤーのストーリーを読んで、これを流山児事務所でやるなんて、さぞ後味悪い思いで、劇場を後にすることだろうと予測していました。
ところが、あにはからんや!
初めて拝見する、演出の小林七緒さんの手腕がお見事で、非常に希望を感じる芝居になっていました。
前から拝見したかった佃さんの劇作の巧さにも感心しました。
次世代を担う育成公演のどん尻がこの芝居で、本当によかった!
育成対象の、演者小暮さん、音楽の諏訪さん、美術の小林さん、お三方とも、育成に相応しい技量をお持ちでした。
この育成公演①の俳小の舞台は、皆さんの演技の仕方に生理的に耐えられないものがあり、こんな演技者に助成しないでと内心思いましたが、この舞台の育成対象者はどなたも大変将来が楽しみな方ばかりで、ほっとしました。
いじめの標的にされる3家族の話ですが、一人でいじめに耐えるのではなく、家族同士が支え合えるという設定が、どこか安心して、舞台を直視できる所以だった気がします。
いじめられっ子だった経験のある佃さんならではの作劇だったと思います。
竹内銃一郎さんの「悲惨な戦争」をモチーフにした、不条理劇の体裁を取りながら、そこにどこにでもあり得るリアルな状況が活写された、実に胸に痛く、それでいて優しく届く、意外な秀作舞台でした。