未完成な犬の末裔 公演情報 架空畳「未完成な犬の末裔」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ヒルコ達のクニヅクリ
    架空畳観劇4回目。相変わらず凄まじい言葉遊びでオカマバーと創世神話、仕舞にはオディプスまでクルッとくっ付けてしまう想像力と創造力に拍手。話は今まで観てきた中で一番筋が理解しやすかった。ただ、舞台としては今回ちょっとうーん。以下ネタばれにて

    ネタバレBOX

    個人的に架空畳の芝居を最初に観たときに感じた魅力は、言葉遊びを基とした縦横無尽に時空間を引き回す怒濤の言語空間と、暴れ回る身体が組合わさり頭と身体に暴力的に働きかけることで沸き起こるトランス感覚にあったのだと思う。その中で技術力の結果台詞が聞き取れないという事があっても、それはそれで「まあいいか」と感じていた。
    けれど今回どうも、演出法の変化というか、有無を言わさない身体的なトランス感覚よりも一つ一つの言葉遊びを確実に理解してゆく事を優先させた節が見られた。
    頭が言葉を認識するよりも先に次の言葉が放たれていたようなそれまでの公演と比較すればそれはそれで歓迎すべきものなのだが、総合的な結果として今回この試みが成功しているとは言いがたいかなと思う。
    目的を言葉の理解に集中させたことによって、残念ながらトランス感の中では「まあいいか」と黙認していた演技と演出のアラの輪郭が目立ってきてしまっていた。
    言葉の一つ一つを理解させる事を目的に据えるのならば、観客に負担を強いる台詞の聞き取り辛さは致命的だし、言葉の立体性に反して身体を持て余すような演出の甘さも正直キツい。今回特に中途半端な上に無意味に多いダンスに学生演劇臭さを感じいたたまれなかった。
    架空畳の言葉遊びと含蓄溢れた脚本には口から発せられることでしか形成し得ない魅力があると思うし自分も少なからず魅力を感じている。だからこそ、前に戻って欲しいと言うつもりはないが、もう一度立体的な視点からの舞台の捉え直しを強く願いたい。

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    2010/02/06 22:09

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