吾輩は漱石である 公演情報 こまつ座「吾輩は漱石である」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    1910年(明治43年)8月24日、43歳の夏目漱石は胃潰瘍の療養の為、伊豆の修善寺・菊屋旅館に滞在。胃疾患から来る800ccもの大量吐血ののち、危篤に陥る。16本のカンフル注射を打たれ30分後に意識を取り戻すが、その間臨死体験を彷徨っていた。(『修善寺の大患』)。
    その6年後に逝去している。

    今作は「夏目漱石はその30分間、何を見ていたのか?」の井上ひさし流解釈。宮沢賢治的な育英館開化中学(現在の高校)での不思議な遣り取り。漱石作品の登場人物達が大集結。

    こまつ座初登場の賀来千香子さんが大奮闘。漱石の妻から複数の役をこなし、観客を盛り上げる今作の大黒柱。
    旅館の女中役、栗田桃子さんも沸かせた。本当にカメレオンのような女優だ。

    ネタバレBOX

    予想を遥かに超えた失敗作。これ、井上ひさしの名前を隠して小劇場で演ったらボロクソ叩かれただろう。失敗作を観ている時はあれこれと改善案を頭に巡らせるものだが、今作では何一つ浮かばない。

    ウディ・アレンに『さよなら、さよならハリウッド』と云う映画がある。かつて名声を勝ち得たが今では仕事もなく落ちぶれた映画監督、大作のオファーに再起を賭ける。しかしクランク・インの前日、心因的ストレスで目が見えなくなってしまう。それを隠し通しズブの素人に協力を頼んで何とか撮影を終わらせる。勿論出来上がった作品は見るに堪えない惨憺たるもの、罵詈雑言の批評を浴びる。『この拷問映画を観るべき人間は世界で唯一人、アドルフ・ヒトラーだけである』。
    そんなことを思い出すような舞台。

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    2022/11/13 23:28

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