仮名手本吉原恋心中 公演情報 ネコダマシ「仮名手本吉原恋心中」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     豪華絢爛、廓の非情もリアルに描きつつ、純愛の美しさを見事に表現。脚本、演出、演技、効果、舞台美術、キャスティング、受付も良い。タイゼツ、ベシミル!!(急用が入ってしまった、追記10.9:11:23)

    ネタバレBOX

     舞台美術も見事だ。奥中央には大輪の紅白牡丹、下手に白、上手に紅の配置でそのあわいを蝶が舞う。男と女の恋を象徴しているのは無論である。この絵の完成度の高さは見事なもので、流石に良い舞台を創る劇団は総てに配慮が行き届いている。その手前には下手は半円形をくり抜き、上手は通常の直角に交差する仕切り、中央手前には廓へ上がる階段が設えられこの階段の両脇にやや奥に矢張り階段が設けられているが、場転に応じて両側面の階段は撤去されることもある。また中央階段を登り切った所は踊り場になっており、劇中、廓内部の部屋や客を迎え入れる場等様々に用いられる。出捌けを考慮してこの踊り場の両側面にも階段が設けられている。これら大道具を設えた客席側が本来の舞台床になるが、ここは往来や外部の某所等廓の外の世界を表現する際に用いられるのが基本だ。出捌けは上・下側面を主とするが、道行など心中物には不可欠の要素を有効に生かすこともあり、客席側通路が上手、下手共場面状況に応じて用いられる。花道が作られる前の否能の橋懸かりが作られる以前迄遡れるかも知れない役者の登退場以前には、こうであったであろうと想像させるだけの力を持った用い方であった。
     上演中故、個々の展開の詳細は書かないが、恋の始まりに抒情的な短詩を菊之介(ヒーロー)がヒロインの初花{吉原一の太夫候補(但し未だ水揚げ前)に贈り、彼女がその詩の内容を正確に理解するも未通女故それが実際何を意味するかは正確に分かっていない、この少女の恥じらいが実に良く表現されている}初花が短詩を正確に理解できたのは、彼女が元々利発であったことは類推できるが、武士の娘であったことが大きい。父の博打の借金のカタに売られたのである。一方ヒーローの菊之介は勘定方を務める義父の旗本本家嫡男、元禄の大火によって両親を失い、叔父の養子として暮らしている。分家の石高は五百石、可成りの家であり、許嫁も居る。だが、養父の実子・佐次衛門は、如何に不幸な目に遭って自分の家に養子として入ったにせよ、家督を本家に取られれば、自らは他家に婿養子として入り他家の家督を継いで生きるか或は自らの生家に残り生涯囲われた生活を送るしかないことを肯んじることができず、義弟をカッコウに準えて昼も夜も執念く悪だくみを仕掛けていた。然し、品行方正、義と人情に厚く知的レベルも徳も高い菊之介自身に付け入る隙は中々無い。そこで菊之介の親友・松平に阿片を仕込み借金まみれにしていた。松平の母は重い病に掛かっており、治療費も大変だ。一方阿片のせいもあってか、松平は早くから女遊びも覚え吉原に馴染みの廓もあった。初花と菊之介の出会いは、元服の祝いを義父がしてくれるその日、松平が吉原に菊之介を連れて行き、彼の馴染みとは異なる店で偶然出会ったことで互いに一目惚れしてしまったからだ。結局、義父の用意してくれた祝いにゲコの菊之介は飲まれ不義理を働いてしまったのみならず、その後、義父が菊之介の将来の為にと膳立てしてくれた上司への挨拶と十両の金は、松平の母の治療の為貸してしまい、これがもとの大事を引き起こすこととなった。ネタバレはここ迄としよう。
     廓の仲間たちのリアルな苦労は、梅毒を患った者がどう扱われていたかや、マブを他の遊女に取られると警戒した際、普段は嫌った振りをしてワザと客を待たせたり、じらせたりしている当人が本気になって怒ったりするシーンで如実に描かれる。また、生の三味線演奏で舞台を盛り上げる趣向もグー。更に狂言回しとして狐の面を被った役者が物語の流れを実に上手く運んでいる。

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    2022/10/08 15:35

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  • 皆さま
    遅くなり、申し訳ありません。
           ハンダラ 拝

    2022/10/09 11:24

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