実演鑑賞
満足度★★★★
幕の合間に10分の休憩を挟み、この間に大仕掛けの舞台転換を行う。一幕はホリゾントに焼け野が原になった東京の写真が壁面一杯に広がり、その手前には食料品、日用品を扱うただ腰の高さに板を設えただけの「店」が並び、店主は総て女性、上手には元蕎麦屋の瓦礫の梁に筵を下げて入口とした廃屋がその戸口を斜めに曝しているが、無論この家に纏わる女たちが住んでいる。所は銀座三丁目だが、皆焼け落ちて何処に何が在ったかも皆目分からないというのが一般であった。板を使った商いの女たちの背後にも瓦礫と化した柱等が林立し火事場の腐臭を放っている。敗戦1年後GHQが総てを支配する形が露骨だった時代だ。(追記2022.10.5)