実演鑑賞
満足度★★★★★
ベシミル、華5つ☆
板上では、場転に応じてテーブル、書き物机、椅子等が入れ替えられてゆく形。出捌けはホリゾントやや下手の開口部、上手側面の奥と手前の3カ所。照明は終始昏く、今作の本質的な暗さを暗示しているかのようだ。それに効果的な音響が被さり一見何気ない日常を描きながら極めて深刻な登場人物達の内面世界を、時にその台詞とは真反対の内面を見事に表象するのに充分な時空を舞台上に出現させ描き切る、一瞬たりとも緊張を緩めない。この辺りの表現力は流石ハツビロコウの舞台である。無論、観客にこのように感じさせる役者陣の演技力の高さ、一見矛盾するような表現で申し訳ないが、大胆に本質を提示しながら同時に極めの細かいそれでいて自然な流れを作っている演出も素晴らしい。