ナノ クライシス ポルノグラフィティ 公演情報 演劇集団 砂地「ナノ クライシス ポルノグラフィティ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    観る側にがっつりと・・・
    物語がつながって輪になるというような
    単純な話ではなく・・・。

    繋がり自体よりも、つながりから浮かびあがる
    それぞれのキャラクターの相容れない存在感に、
    観る側を深く浸潤するような質感があって。

    見せ方のうまさとも相まって
    心地よい消耗を感じるほどに
    見応えがありました。

    ネタバレBOX

    舞台の使い方がとても秀逸。
    四方が客席の舞台を
    布や紐をうまく使って場所に作り上げていきます。

    一人の役者が順番に二人と交わる中で
    キャラクターの色が
    互いを補色とするように
    実感を持って浮かび上がっていく。

    二人のすべてが重なり合っていれば
    何も見えない時間がそこにあるだけなのかも。
    相容れないというか、ふたりが重なり合う部分の外側にこそ
    ぞくっとするようなリアリティがあって。

    キャラクターのすべてが、さらけ出されるのではなく、
    うまく言えないのですがセックスに照らされる範囲での
    それぞれの感覚が滲むように現れてくる。

    互いのすれ合う部分から見えるものが
    キャラクターの日常を広く俯瞰させたり
    そのコアにある想いを細密に表したりするわけではないのですが、
    にも関わらず舞台には
    二人の時間それぞれが
    鋭利な存在感に裏打ちされた
    揮発していかない感覚として強く残るのです。

    で、10のシーンが交わりで繋がれ重なっていく。
    与えるもの、求めるもの、抑制、解放・・・。
    欲望と理性の色やバランスの実存感に
    じわじわと見る側が侵食されていきます。

    役者はいずれも好演、
    ひとつの色に染まらない個々の力を感じました。
    ライティングや舞台上の映像が醸し出す
    交わりの時間の不思議な質量もとても秀逸。
    それと劇場入口のドアの扱いも
    うまいと思いました。

    最後のシーン、輪がつながったとき、
    原点にある欲望と概念を表裏にした
    メビウスの輪を一周したような感覚の
    膨らみの厚さに気がついて。

    初日の観劇で、
    シーンによっては若干もっと詰まっていく余白を
    感じたりもしましたが
    これがさらに煮込まれていくとどうなるか
    空恐ろしいような気もしたり。


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    2009/10/21 23:24

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