普通じゃない普通【7月20日~24日公演中止】 公演情報 劇団水中ランナー「普通じゃない普通【7月20日~24日公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     星5つを付ける人が多かろう。ただ、自分がそうしなかったのは、自分の感覚では、待合室のデザインが余りにモダンで生命の誕生という生理的現象にはそぐわない気がしたためで、現在では現実にこのようにモダンな施設があるのかも知れないが、この点だけは感覚がついてゆかなかった為だ。(自分は産婆さんに取り上げて頂いている世代ということもあるかもしれない)華4つ☆

    ネタバレBOX

     2つの作品に共通であろう大道具。板の形から若干変わった形である。上手側の板は観客側に迫り出し而も側壁の反対側は、観客席側がより短く、つまり斜めになるように断たれている。下手奥には円筒を薪割りで真半分に断ったような構造物が側壁に対して斜めに置かれ、これが袖になって下手の出捌け。尚その円周部分には窓のような四角が数個ある。同じ形の構造物が上手にも置かれているが、こちらはホリゾントに対して平行に置かれ上手奥の出捌けとしても用いられる。尚奥は階上の病室に通じる設定である。上手円筒形の手前には正方形スツールが並んで2つ据えてある。他に同様のスツールは客席側下手側壁にピッタリつけて置かれ、上手の客席へ延びた側壁にもピタリ付けて置かれている。上手側壁スツール脇に狭い黒幕を設け出捌け口を隠してあり、奥は陣痛室及び分娩室が在る設定で、待合室と施療室の間には防音用の厚い扉がある。また、下手から丁度板中心辺りに長椅子が間隔を空けて役者陣の姿が観客に良く見えるよう斜めに1つずつ置かれている。全体の色調は淡い。拝見したのは2作品のうち(迎える人々)。産婦人科の待合室という設定である。
     登場する人々は以下。陣痛に襲われるも出産がやや遅れた初産妊婦、スーパー助産婦、その夫、研修医、看護士、母の葬儀の日に子供の出産が重なった間もなく父になる夫、もう直ぐ双子分娩の20歳妊婦のバンドをやっている夫、大学の2年先輩だ。20歳妊婦の父。シングルマザーに成ろうとしている女性の親友、シングルマザーに為る道を選んだ妊婦の幼馴染で彼女に恋する若者。シングルで産むなんてと喧嘩している姉。上演中故、ネタバレはここ迄にしておくが、随所にお産の大変さ、母になる女性達の不安な心理や決意・覚悟、出産に関わる人々の優しさや技術研鑽に賭ける人間性の尊さ、覚悟。愛する妻や娘の命懸けの出産に何もしてやれない男達の、それでも必死に連帯しようと藻掻く滑稽な迄の哀れ、報われそうにない恋に挑む若者のチャレンジ、親族同士の葛藤、真の友人の有り難さ等がキチンと描かれ胸を撃つ。  
     無論、分娩間近の妊婦は1人も登場しないが、登場する陣痛の間隔が徐々に早まってくる妊婦の様子と他の登場人物達の言動によって分娩に向かい合っている妊婦の状況がリアルに伝わる仕組みになっている。

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    2022/07/16 22:25

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