第15回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2022(IDTF) 公演情報 シアターX(カイ)「第15回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2022(IDTF)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    IDTF2022 7.5 19時 シアターX
    本日の出演は3組

    ネタバレBOX


     初めにフィンランドから来日のヴィルピ・パハキネンさん。筝の森稚重子さんの生演奏との共演だ。筝は十七弦他二つの筝を用いた。作品のタイトルは「Solos」。2人のアーティストのSoloが重なるという意味でも具体的にダンスが蜘蛛を描いた作品とモルフォ蝶を描いた作品2作によって構成されていることも含めて複数のsが付いているのは象徴的だ。
     ヴィルピさんは2000年のIDTFに参加して以来2度目の出演で、本来前回2020年の第14回IDTFに参加を予定していたがCovid-19の影響で参加できずその時のメインテーマは“『蟲愛づる姫』(「堤中納言語」に所収)とBiohistory=生きものの物語”と題されていた。当然そのつもりで今回演じられた2作品を準備して『蟲愛づる姫』に参加を予定しており、主催者側が今回のコンセプトとも関連があると判断、発表作品を変更することなく演じられた。
     構成は2部に分かれ、1部では蜘蛛が2部ではモルフォ蝶が演じられた。筝は十七弦筝を1部の演奏に、通常サイズの筝を2部の演奏に用いた。森さんは作曲もするので、上演作品の為に作曲。フィンランドと日本で各々が独自にを作った作品をネット上で交信してみると波長がピタリと合ったのであった。拝見・拝聴し乍ら感じていた量子の重なり合いというようなことが2人のアーティストの間で実際に起こったのかも知れない。ダンスは、形態模写を基本とするように見えつつ、もっと遥かに深い命の根のような所で息ずく生命そのものの波動(例えば電子)と存在(例えば粒子)を同時に表しているような形象であり蜘蛛では筝が、モルフォ蝶では森さんとルイ・ヘルナンさん、コルテス・マヤさんの音響が用いられ呼応した。また衣装は、蜘蛛では黒ベース、モルフォ蝶ではブルーベース、見事であった。
     次の出演者・藍木二朗氏はソロ。コーポラルマイムやパントマイム、モダン、コンテンポラリーダンス等をやってきた人だが、今回の発表作「バイオポップ」では、ルネサンスを独自解釈している点では以前書いた女性コンテンポラリーダンサーの浅野里江さん同様だが、浅野さんのRenaissance解釈とは無論全く異なり、映画バイオハザードやゲームの視座を取り込んだという。Renaissanceにしては発想が余りに安易に感じられたのは、男性は日常的に己の身体を女性ほど強く意識せずに済むからかも知れない。
     トリを飾ったのは矢張り女性ダンサー清水知恵さんだったが、タイトルは「Voiceless Whisper」。人間環境学の研究もして博士号も取得、大学教授でもある。使われた曲はグレツキの交響曲第3番第2楽章「悲歌のシンフォニー」。流石インテリの知的で深く更に純度の高いダンスと感心させられた。それは研究と、重ね合わせ可能な量子的世界やボードレールのコレスポンダンスの世界を綯い交ぜたような世界であり、身体表現であるダンスとより緊密に而もより照応して波を形作るような表現と感じたのは自分ばかりではあるまい。この点では本日初めに演じられた「Solos」とも共振しているような気がしてならぬ。

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    2022/07/07 22:00

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