ほおずきの実る夜に 公演情報 藤原たまえプロデュース「ほおずきの実る夜に」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     誰しもこの作品を観た後感じたであろう痛快感は、閉塞感そのものの現在日本への反発からだろう。元気を貰える作品である。華5つ☆

    ネタバレBOX

     導入部、暗転中イキナリ女性の悲鳴、明転すると刺殺事件現場だ。天井からほおずきの橙色の方形が不気味に垂れ下がり、上手側壁はほおずきで埋め尽くされている。下手側壁の前には一升瓶のラックに載った神棚等。包丁が体中に刺さった人体、血だらけの身体が倒れた女の脇を跳梁跋扈する。そこへ現れたのは狐の面を付けた者が現れ刺殺犯に告げる。「あんたは運がいい、この村に居る限り人は決して死ぬことが無い」と。
     ところで、このオープニングは明日初日を迎える舞台の稽古である。2年前に上演する予定だった作品がCovid-19の影響で1年延び、延びた公演の中止の憂き目を見、今回漸く上演できることになったのだ。稽古が漸くひと段落つくかつかぬかの折、電話が鳴った。体調を崩し医者に診てもらっていた出演女優からだ。「陽性!」座員が崩れ落ちる。延期、中止で借金を負い乍ら頑張って漸く公演に漕ぎ着け、愈々明日初日のこの日、遂に公演は中止に追い込まれた。作・演を担当した博美は八方塞がりの中、13年振りに「有名女優になって金持ちになるまで帰ってくるなよ」と励まして送ってくれた故郷の島へ襤褸雑巾のような心を抱えて帰る。夏の近づく頃で車椅子で芝居を観に来てくれていた祖母の面倒も総て妹に見て貰っている。それが心苦しい。因みに「金持ちになるまで云々」は、送迎幕付きで二度も繰り返され、島と東京の人情や世知辛さの差異を嫌が上にも対比して効果的である。そんな中、東京のせわしなさに疲れ島へ越して来たミュージシャンや青年団のメンバーらで今年は夏祭りをするという話がまとまって、女優であった博美に船頭役が与えられた。初めは渋っていたものの、表現する者の血は滾る。引き受けることになった博美はスパルタ教育の稽古を強い、仲間たちも良くついて来た。愈々、明日本番の前日、演目の中心・阿波踊りの仕上げを終えたメンバーに役場からは祭り中止の命令。上等! 祭りをやらなけりゃ良い、とケツをまくった。痛快!
     役者さんの演技に関してはだるま座の剣持さんの間の取り方、対話の脱臼のさせ方、ずらし方、外し方等々上手いベテラン俳優の味のある、また観客の機微に瞬時にそして見事に対応する演技に見惚れた。

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    2022/06/24 20:07

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