「星灯り〜2022ver.〜」 公演情報 TEAM 6g「「星灯り〜2022ver.〜」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     華四つ☆ メインストリームとサブストリームの重ね合わせ方の上手さ、相乗効果をキチンと見極めて作品創りをしている点もグー。

    ネタバレBOX

     舞台美術は基本的に殆ど変らない。日本で最も星が澄んで見えると雑誌に紹介されたペンションのダイニング・リクライニングルームでほぼ総ての物語は展開する。オープニングは小説の新人賞に応募している新米作家大橋夫婦の家という設定で始まる。亭主は傍から見ると優柔不断で何事に対しても受け身であるかのように見えるが、寧ろ警戒心が強く他者を自分の世界には容易に立ち入らせない頑なさを持っているように描かれる。例えそれが妻であってもだ。一方妻は自分の方を振り向いてくれない夫に対する不満が募ってゆくばかりであった。そしていつか2人で行こうと話した件のペンションへ旅立ってしまった。期間は1カ月、要は家出であった。
     脚本的に上手いのは、妻が孤立感を深めている状況の中で腰の痛みを訴えているシーンをさりげなく入れていることである。{この辺りTEAM6gの意味(恐らく6gは魂の重さ)を大切に作品創りをしているこの劇団の姿勢が見事に出ている。}メインテーマがこの夫婦の愛を巡る不如意にあるので作家自身の真の問題即ち何故大橋一樹は、他人に心を開くことができないのか? という問いには踏み込んでいない。あくまで夫婦を中心とした家族関係の話である。上演時間は2時間半を超え笑わせ所も満載だが実存の本質からは距離があると考える。
     物語自体の構造は、この小説家夫婦の不如意、殊に妻の抱えていた寂しさ、辛さを理解してやれなかった夫が、家出から戻った妻に辛く当たり彼女の抱えていた病に気付きもせず他界させてしまったことを後悔し、孤りペンションを訪れる中で、其処に泊まっている客達やペンション関係者との間に観た、ヒトとヒトを紡ぐ距離を前提とした人間関係の中で、尚求め合い出逢い別れる人間の、様々な様態を通して遅ればせながらもやや人間関係という網目を悉り始めるに至ったことで幕。

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    2022/06/24 15:13

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