ピースの煙 公演情報 壱組印「ピースの煙」の観てきた!クチコミとコメント

  • ひとつずつのシーンが豊か
    冒頭のシーンから
    舞台の空気にとりこまれました。

    その時代や場所の空気が
    すっとやってきて
    本当に違和感がない。

    昭和21年に生きる人々には
    物資はすくなく
    背負っているものはたくさんあったけれど
    でも、だから全員不幸せというわけでもなかったような・・・。

    時代の明と暗のなかに
    なにか生きるということの素敵さが
    垣間見えたようで
    煙のような幸せのおすそ分けをもらった
    気分になりました。

    ネタバレBOX

    対面客席の中央にスクエアな舞台が切られています。
    で、舞台が始まるまでは
    もっと息苦しい世界が浮かびあがってくることを想像していたのですが、
    冒頭の蝉の声にまずやられた。

    舞台内の父子三人の気づまり感が
    舞台外側の役者たちからの蝉の声で
    たちまちすてきに
    コミカルで豊潤な世界に塗り替えられていくのです。

    戯画化された軍隊や満洲の引き上げの姿、
    パンパンと呼ばれた女性たちの
    今の女性たちとは異なる魅力。

    将来日本を改造するような宰相となる人の
    人物描写などもあって
    クスッと笑ったり・・・。
    東京の復興時の勢いが肌に伝わってきたり・・・。

    歌のシーンも秀逸、
    大谷亮介の説教を観ているだけでも
    楽しい・・・・。
    冒頭で失笑にちかい笑いを取った登場人物の年齢設定が
    終盤にはきちんと観客の中で折り合いがついていることに
    気がついて驚愕。

    一つずつのシーンにあふれる
    創意と役者たちの表現する力から
    ちょっとコミカルな台本に
    見事なふくらみが作られていく

    よしんば終戦直後の荒廃した日本にも
    ふつうに生活があったり夢があるという
    当たり前のことが
    意外な感触で伝わってきて・・・。

    なにか昭和21年から豊かで貧しい「今」へのエールのようなものが
    感じられたことでした。

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    2009/08/03 04:53

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