グレートフルグレープフルーツ 公演情報 LICHT-ER「グレートフルグレープフルーツ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     物語は一種の因縁物ととれようが、そのように感じられたのは今作が描く世界とは、(追記4.18:遅くなって申し訳ない。アクセスが特定し得る誰かによって邪魔されていたようである)

    ネタバレBOX

    現在我々が生きているこの格差社会そのものではないかと思えたからである。脚本の良さ。上手さと共に、絡み合った因縁の昏い黒い無明の綾を手際よく展開させる演出、アナーキーな雰囲気を齎す舞台美術、照明や音響の用い方、役者陣の演技もグー。
     さて追記であるから筆者の感じる格差社会というのが如何なるものなのか? についても少し述べておこう。我々は親を選んで生まれてくる訳ではない。何時、何処に生まれるかは、生まれる迄定まらない訳だ。少なくとも生まれる当事者はそうである。そうして多くは生れ落ちた時の庇護者の属している階層から一歩も先へ進めずに世を去る。貧しければ教育を充分受けられない、教育程度が低ければ就職先も条件の良い所は無いに等しい。これが親から子へ、子から孫へ孫から曾孫へ・・・と連なる。これ以外に道が無いように思われないか? 負のスパイラルでこれに捕らえられたら蟻地獄に落ちた蟻、蛇に睨まれた蛙、母の手から奪われ売られた乳飲み子、悲惨そのものである。こんなことは、まともな大人なら誰でもハッキリイメージできることだ。然るにこの国の世間では、身近に在るこのような悲惨には目を瞑るのがお約束でさえあるから身近な問題には蓋をし何も無かったことにしてある。而もこの茶番を指摘されるや否や目くじらを立てフェイクを交えた中傷、非難が跡を絶たない、情けない。
     ところで演劇が観劇料をとって上演される見世物である以上、客には納得して帰って貰う必要があるから、如何に因果が上記で示したように悲惨であっても、それだけを提示したのでは客は納得するより打ちひしがれてしまうだろう。それは避けねばならぬ。そこで導入部ではふんだんなカリカチュアやズッコケ奇抜性やアナーキーなるが故の自由奔放な展開に、そのアナーキーなイキフンをしっかり受け止め観客に逆照射するような一面の文字による張り紙が、床といわず壁といわず一面に張り巡らされており、所謂「偏りの無い記事を目指す」という日本独自の客観性を欠く「スタンダード」の滑稽を嘲笑うかのように分解された文字、個々の独立性が台詞にも担保されているが、系列会社のエリート記者・クズ丸が偏りの無さではなく‟ホ“の字を選ぶ点、掃き溜めの酔雄・ヒカリに論破されㇹの字になるのがミエミエの展開の分かり易さと相俟って、現代版弥次喜多よろしく九州で起こった怪事件に挑み、謎を解き明かすと同時に最下層の人々の救い難い宿命の如き負のスパイラルの凄惨な結末を描くが、罪を犯したテルオと影彦を含め、何れの登場人物も観客からの哀れの念を滝の様に浴びる作品である。演技が特に気に入ったのは、成人後のヒカリを演じた福圓美里さん、テルオを演じた音羽美可子さんのお二人。
     実際にバラバラ死体を量産した妖怪・ししかりが左手だけを喰い残すのは、ししかりを蘇らせたテルオと影彦が、その怪物が蘇る場となった木箱に左手を載せて何も考えずに願うという至難の技を駆使して蘇らせたからであるのも想像に難くはあるまい。テルオが自らの目を突いて両目を潰し血を滴らせるシーンは、無論「薔薇の葬列」のピーターを思い出させ松本自身が言っていたように「オィディプス」迄遡ることができる。

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    2022/04/16 11:22

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  • 皆さま
    上演中に追記はアップできるよう原稿を上げていたのですが、理由は上記。何れにせよ、遅くなって申し訳ない。
                                  ハンダラ 拝

    2022/04/18 15:54

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