「流れる」と「光環(コロナ)」 公演情報 劇団あはひ「「流れる」と「光環(コロナ)」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「Letters」改め「光環(コロナ)」
    これはもう完全に能の世界、実に複雑な構造で理解は困難を極める
    開演前に配られた「観劇の手引き」に「能編」というのがあって記憶を呼び覚ましていなかったら、皆目わからなかったかもしれない
    いや、それは一助にすぎず、アフタートークを聞いてやっと7割方理解した
    衣装や超シンプルだがライティングなどと相まって不思議な世界を作り出す舞台美術などは大変優れていた
    若いが確かに独特な世界を作る劇団だ
    本作は観る側を選ぶだろう

    ネタバレBOX

    なぜ対角線上両方に橋掛かりがあるのかと思っていたら、アフタートークの謎解きで本当の舞台は観客に背を向けているのだと種明かしをされ驚いた(観客の上手手前に伸びているのが本当の橋掛かり)
    そもそもワキと思われた女性が実はシテであり、ゆえに確かに彼女はほとんど観客に背を向けて本来のシテ柱(観客から見るとワキ柱の位置)に立って演じていた
    そして後シテの面としてマスクをつけて現れた彼女は本来の橋掛かりから廊下の方に出て行った
    アフタートークでは実は観客もシテであることが明かされ、そちら(橋掛かり)から後シテとしてマスクを付けて出て行ってほしいと言われた(本当は入場もそうして欲しかったらしく、自分は前方席でそのように入ったが、半分の観客は劇場側の案内で後方扉から入ってしまった)
    作の大塚健太郎はこの劇について、コロナ(だけではいが)によって本来出会えたはずの人々と出会えなかった大きな喪失感が根っこにあると語っていたが、それは観客も皆同じであることから、ここにいる全員がシテであるという構成にしたようである
    この能仕立てで演じられるのがエドガー・アラン・ポーの「盗まれた手紙」
    そしてこれに詩人パウル・ツェランの4月20日のセーヌ川投身の話や村上春樹の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」がからむ

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    2022/04/10 02:59

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