リムーバリスト―引っ越し屋― 公演情報 劇団俳小「リムーバリスト―引っ越し屋―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     先ず驚かされたのは常打ち小屋での公演では無かったことである。下落合では無かった訳だ。理由は、舞台美術だろう。それがどんな舞台美術であったのかについての詳細は観て頂くとしてコンセプトはネタバレに記すのでそちらを見て頂きたい。この演劇集団のキチンとした姿勢については自分如きが今更申し上げる必要もない。何れにせよ、ラストシーンには背筋が震えた。(華5つ☆追記後送)

    ネタバレBOX


     先ず、約束の舞台美術から行こう。小劇場演劇では極めて珍しい回り舞台なのである。片側にカーター家の部屋、裏側に派出所。この回り舞台が実に効果的に使われている。
     原作のタイトルである「リムーバリスト」は一種の捻りが効いたタイトルである。実際の上演時間約120分の内、タイトルに直接関わる引っ越し屋が登場する時間は案外短い。登場人物各々のキャラが濃いのが今作の特徴の1つだろうが、引っ越し屋のロブは唯一最も冷静で己の仕事の観点から他の総てを客観視している狂言回し的な存在である。原作はオーストラリアの劇作家・ウイリアムソンであるが、予め決めていた戦略・戦術に則って書かれた気がする程メルボルンで最も犯罪が多発するエリアの派出署警官2人(シモンズ巡査部長&勤務初日のロス巡査)のキャラは際立っており、その表現される所は普遍的である。シモンズ巡査部長の主張は、規則等は基本的にどのようにもアレンジ可能であり要はオトシドコロを間違えず、限度を弁えて決定的ミスを犯さない限りに於いて何事も自由だという観点に立ち相当現実的な説得力を持つ。一方、警察学校出たてで実際に勤務するのはこの日が初めてのロス巡査は至って真面目で杓子定規に行動しようとするものの頑固な一面を持ち、切れると手が付けられない。物語は、この派出署にDV被害を訴えてきたフィオナと姉ケイトが訪れたことから佳境に入るが、ケイトの夫は歯医者で裕福、警官の給料とは比較にならない階層に属し、有閑マダムのケイトには浮名が絶えない。シモンズはそれをいいことにケイトにシグナルを送り彼女も満更でもなさそうな応じ方をしていたが。

    0

    2022/03/17 20:03

    0

    2

このページのQRコードです。

拡大