実演鑑賞
満足度★★★★★
死刑囚 永山則夫の犯した連続ピストル射殺事件。
50年以上前に起こったこの連続殺人事件を全く知らなかったので「よし、観劇前に予習をしておこう」と、その全貌を描いたノンフィクション・ノベルを読んで準備は万端、いざ劇場へ。
読んでいたから分かったのは、事件のあらまし(事実)が細かいニュアンスも含めてちゃんと表現されていた事。
その上で観る事ができて良かった!と思えるのは、永山則夫自身の主観世界、演劇だからこそ可能とも言える独特な表現世界。
そこ(舞台)に息づく者と時間・空間を共有しなければ湧き起らない感情というのは確かにあって、こればかりは映像や文章では無理。
観劇中、肉体を持って確かに存在していた「永山則夫」
4人の被害者を思えば同情はしたくないと「永山則夫」を睨みつつ、その内面へと。
事件を辿り、母親や姉、少年時代の「永山則夫」に気持ちを揺さぶられ、最期の「永山則夫」を見る。
確かに「永山則夫」は存在していたのだけれど、観終わった後、全ては哀しい白昼夢だったかのような余韻に包まれるのでした。
(当日パンフには永山則夫の年表や家族構成、その他情報が豊富に掲載されていますので、余裕をもって席に着かれた方は一読をお勧めします)