Speak low, No tail (tale). 公演情報 燐光群「Speak low, No tail (tale).」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     板上奥にはちょっとした堤防のような壁。その手前から距離を置いて屋根のようにぶっちがえになったカウンター。これはジャズバー・Speak lowのカウンターである。Speak lowの客は奥に座る。カウンター手前にはボトル等の載った台や冷蔵庫、その上手に調理器具や調理台。マスターの居場所を挟んで観客側に、正方形の平台が頂点をカウンターの鋭角に向けるように置かれている。この平台はライブ等の際、ステージとして用いられる。奥の堤防のような壁とSpeak lowの店内は照明で見事に分けられる。(追記2.21)

    ネタバレBOX

     物語は60年代から隆盛をみたミニマルミュージックの流れがジャズ界にも影響を与えたのか、フュージョン等がしきりに喧伝された1980年頃からの約30年間に起こった数々の事件や災害、世相や時代の変遷、社員生活の鬱憤等に揉まれて変わってゆく人情を、店で掛かるLPジャズ曲の変遷と客たちの会話・店名になっているSpeak lowのそれとない説明に歌唱で表現。この店での振る舞い方やマスターの音楽哲学等々が、常連客との会話で挿入される。
     堤防のように見える場所はSpeak low以外の様々な空間を表現するのに用いられる。例えばここに載って野良猫各々に好きな仇名をつけあれやこれや話す女性達の会話が為される庭付きの個人宅にもなれば、全く別のある家族の飼っていた犬や猫等との関わりを通して市井の人々が身近な命と出会い、面倒をみたり育てたりしつつ体得してゆく命そのものと出会う場として。更にペット達の餌や寿命を通して「家族」として認知していながら餌の栄養素をキチンと考慮せずに与えていた昭和を過ごした場、そこで飼われた何代も同じ名前の犬、猫の寿命を通して知った壊れ物としての命、掛かるが故に尊いと気付くことの余りにも当たり前過ぎて気付かなかった生命の等価性が対置される。無論、これら命の物語が、煩わしい世間からの隠れ場所としてのSpeak louというショックアブソーバーを仲立ちにそこで話される世間とも対置されている。ラストは想像できよう。

    1

    2022/02/21 09:50

    0

    1

  • 皆さま
     追記しました。ご笑覧下さい。

    2022/02/21 19:08

このページのQRコードです。

拡大