おわれる 公演情報 イサカライティング「おわれる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ■65分弱■
    最小限の美術でそれらしく表現された、金持ちっぽい家が舞台。そこで男と女がやり取りを繰り広げるうち、「鉄の女」という役名の女が絡んできて…という、会話劇。
    家主である高貴そうな女に、男はどうやら匿われているらしい、ということがわかるのみで、2人の関係性はおろかそれぞれの素姓もよく分からないが、男が女に打ち明けるある“不安”が謎めいていて、なぜそんな不安に苦しめられているのか、それを憶測する面白さがある。
    また、随所で唐突に鳴り出すクラシック音楽の異化効果にも惹きつけられる。
    ただ、いかんせん、笑いが乏しい。もう少し強く押せば笑いが取れたのに…と思われるくだりがいくつかあって、勿体なく思われた。笑いがくると全てが台無しになってしまう、そんな類の劇作品もこの世には存在するが、本作については、笑いが起きても劇世界は瓦解しないと感じられた。
    というか、私の観ていない回では笑いが起きていた可能性もある。

    ネタバレBOX

    海に追いかけられている気がする、というのが男の不安の中身。「鉄の女」は男に家族を殺されたと訴えて突然家に押し入り、刃物を構えて男への復讐を試みるが、女が素早く的確に対処して刃傷沙汰は回避される。
    男は、人災という側面もある3.11の化身なのではないか、というのが私の見立て。3.11は原発事故を引き起こしていまだ汚染水を放出し続けており、“海に恨まれている”という思いが、海に追われているという不安を男の心に引き起こしているのではないか。
    3.11は自殺者も生んでおり、「鉄の女」は殺された家族の敵討ちに来たのかもしれない。

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    2021/12/30 04:50

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