眠れぬ姫は夢を見る 公演情報 サヨナラワーク「眠れぬ姫は夢を見る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     出演は8名、全員女優さん。

    ネタバレBOX

     地下アイドルグループの群像劇。舞台美術がグー。通常の板の中に正方形を45度の角度で嵌め込み手前のコーナー部分を削いで奥の2面を基底に壁を立ち上げてある。大小の矩形を貼って凹凸を付けた壁面手前には箱馬が3つずつベンチのように並べてある。無論、物語の展開に応じ、最初ベンチのように並べられた箱馬はばらされ様々に再構成されて色々な様態を表す。正方形を変容させた主舞台や箱馬は総て白。これはプロジェクト・マッピングを効果的に用いる為の条件だろう。色彩や文様が映されるが、単に文様として美しいというより、アイドル達の変容する心理や心の揺らぎを表象していると観るべきだろう。また女優達の衣装はライトカラーのものが多く、柔らかな感性や傷つき易さを表象していると思われる。
     物語はグループ結成辺りから人気トップの優羽に憧れ自分を変えたいとの希いから応募し入団した萌愛を中心に展開する。メインストリームは、メディアで取り上げられた襲撃事件と1年後の解散、襲撃事件被害者・萌愛の怪我と怪我回復後のトラウマに因る引き籠りを重石とし、弱小TV局アナウンサー故同時に記者・カメとしても働きつつ、事件を取材し報ずる(奈月)の報道を食い入るように見つめていた怪我の癒えた萌愛がそのトラウマの為「死んだふり」をし続け、遂には奈月への人格転移を引き起こし乍らも執拗に事件の分析に挑み最期には自己を取り戻し、解散十年後に約束された1回だけの復活ショーに至るまでの経緯約10年を描く。この過程で「私は貝になりたい」について触れるが、ちょっと鼻白んだ。「私は貝になりたい」が描いた作品の内実にあった深く極めて社会的な視座と今作の描いた分断された世界及び世界観では次元が異なると感じたからである。「私は貝になりたい」を持ってくるならその背景としてブルデューの描いた「世界の悲惨」(全3巻・1巻500頁以上)程度の社会観は背景に描き込まれ観客に感じさせなければなるまい。因みにブルデューは余りに極端な悲惨はこの本に敢えて載せておらず、それだけに単にフランス一国の問題としてではなく他の多くの国に当て嵌まる事例とその深刻さが如実に描かれている。このブルデューの世界観と対比される形で分断された孤独な世界が描かれていたなら素晴らしい作品になったと思うがこの点が惜しまれる。制作さんからのメール対応が非常に良かった点も評価したい。制作さんへの高い評価を加えて☆は4つとするが、脚本は☆3つ。

    2

    2021/12/18 09:04

    0

    2

  •  頑張って下さい。
         ハンダラ 拝

    2021/12/20 13:56

    このたびはご来場いただきまして、ありがとうございます。
    大変参考になる感想をありがとうございます。
    今後の創作の参考にさせていただければと思います。
    引き続きまして、サヨナラワークをよろしくお願いします。

    2021/12/20 08:25

このページのQRコードです。

拡大