実演鑑賞
満足度★★★★
ピンターが、「景気づけに一杯」のような、政治的な芝居を書いていたとは知らなかった。看守役の石橋徹郎の陰湿な陽気さにすごみがあって、怖い芝居だった。タクシーの本社の指令(上川路啓志)と運転手(藤川三郎)の頓珍漢なやり取りの「ヴィクトリア駅」は、ディスコミュニケーションの滑稽という典型的な不条理劇だった。二人の演技も緩急と余白があって、大いに笑えるピンターだった。これが、一層大規模に話が食い違いすれ違う「家族の声」「灰から灰へ」になると、寝てしまった。晩年になって戯曲がはっきりと政治化するのは井上ひさしとも似ている。
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2021/12/17 10:21
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