AI懲戒師・クシナダ 公演情報 株式会社CREST「AI懲戒師・クシナダ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     舞台はホリゾント中央に出吐けを設け、両端を手前に引いて150度くらいの角度をつけた壁に連なる側壁とぶっちがえになって上手・下手の袖から延びる短い壁の間を若干開けて上手側・下手側の出吐けとするがこの壁面は折り紙を内側に織り込んで層をつけたような意匠に形作られ中ほどにドアを設けたもので出吐け通路は3つ、出入り口は5つという面白い作りだ。基本的に板上はフラットであり、箱馬を物語の展開に合わせて設置・撤去する。音響や映像は非常に良い装置を使っており、各々の担当者たちの操作レベルも高いので脚本・舞台美術と並び大人の技量を見せてくれる。

    ネタバレBOX


     シブゲキの上演作品は大人が担当する脚本、照明、音響、舞台美術は優れているが役者はアイドル的な若手が多い為演技レヴェルがイマイチ、落ちがちだ。無論力量のある役者が肝要なパートに入っているから要所要所はキチンと締めているが、楽日の最終公演1回を残す段階になって、オープニングでヒロインが吐く台詞の~千という所で膳に近い発音をさせているようでは演出に問題ありと指摘する他無い。また中盤の群衆シーンで場面を横切る女学生3人程の歩行シーンでその歩き方は変に無機質で初期AIでもなく役柄はヤマタが経営する学園の生徒とみられる所から普通の人間の歩行をすれば良いのに役作りも何も考えずに唯動いているというのが明らかであった。観客は不自然に役者が動けば直ぐ勘付く。キチンとダメダシをしておくべきである。殊に役者経験が浅く演技の何たるかを理解していない者と演技をキチンとこなす役者が同時に登場するシーンでは猶更演出は気を入れてダメダシをすべきだろう。箱馬の設置・撤去シーンが結構多いのだが、1回だけ偉く目障りに感じたシーンがあった。中盤の終わりに近い辺りだったと思う。こういった点にも注意して欲しい。
     とはいえシンギュラリティ―の危機を目前に控えた時代を背景として働く国際IT防護機関と資本家を利用し体制転覆を図る革命グループ、天才プログラマーとして手腕を発揮し亡くなったヒロインの母、唯一の形見として残したペンダントの秘密、資本家父子の相克に多角的な恋の在り様が絡み、更にAIと人間との因縁と戦闘、それを抑える為の唯一の方法としての対話等。適度に錯綜した物語は楽しめた。通常シンギュラリティ―が起こればディストピアに行きつく物語になることが多かろうが、争いを対話によって収めるという発想は実際に行われている対テロ戦争の失敗を逆照射していて面白い。

    0

    2021/12/06 17:45

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大