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嫉妬深子の嫉妬深い日々
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公演情報
U-33project「
嫉妬深子の嫉妬深い日々
」の観てきた!クチコミとコメント
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ハンダラ(10437)
実演鑑賞
満足度
★★★
役者は全員女性。メイコ役、深子役の演技が気に入った。
ネタバレBOX
板は中央に階段を設えた二段組。上段の上手・下手には途中に屈曲部を持つ大きな衝立が目を惹く。ホリゾント中央の衝立の間と上手・下手に袖を設えて出吐けを3カ所設けてあり丁度客席からみて3角形の出捌けがあるのは観易く合理的だ。因みに下手の衝立には格子状の図形が描かれて抽象的・幾何学的な思考や生活態度のメイコを象徴し、上手の衝立には暖色系の色を多く用いた抽象画のような文様のようなものが描かれていてこちらは深子や若い女性達の変容するメンタリティーを象徴していると思われる。板上段に1つ(青)、下段に下手から(槐)、(イエロー)、(黄緑)の箱馬が置かれている。これも若い女性達の感性と対応していると思われるがこの関連は余り明確に関連付けて用いられたとは思えなかったのがちと残念だ。脚本・演出は同じ方がなさっているようだが全体として一本調子に推移した感がある。もっとそれぞれのキャラクターに社会性(例えば経済的格差や親の社会的位置からくる生育環境差のような下部構造を通じて生じる上部構造格差迄読み込むことによって必然的に見えてくる格差を含む)を作家が見据えないと何時迄も表層しか描けまい。せめて中層、下層迄キチンと分析できた上で表層を描けなければどうしても本質的な対立項は生まれない。その結果の同質性はドラマツルギーを生み出し難いからだ。
評価すべき点は2人の登場人物メイコと嫉妬深子は共に仇名で本名で呼ばれることは無いという仕掛けを拵え、ラスト部分以外には仇名でしか呼ばれなかったメイコと深子が互いに本名で呼び合うことでアイデンティファイし合うという所迄描いたこと。ところで深子が最も嫉妬していたのは、一見不愛想でありながら物事の本質を誰より良く弁えており、それをベースに的確な人間関係を築くだけの世間知を持つ転校生(役名は観てのお楽しみだ)に対してである。謂わば外部の目を持つ人間に対してだった。序盤から海へ行きたがる深子の‟深“という文字には生命の誕生に対しての遠い記憶、女性と海(潮の満ち干)との親近性、胎児の育つ環境である羊水の成分が海水に近いこと等々様々な意味も直ぐに惹起されよう。然し深子の場合には、それを外部から眺める視座が無かった。この欠如こそ彼女が転校生に対して最も大きなコンプレックスを持った原因であったろう。深子が矢張り終盤以外には体操着で登場するのもトレーニング中を意味しているのではないか? つまり一人前では無いということだ。だがこれだけでは弱いような気がする。この辺りで階層差を描き込むと更に面白い作品になったのではないか?
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2021/11/27 15:33
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