NEXT STAGE 公演情報 ACファクトリー「NEXT STAGE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     演劇初心者には、舞台を観る時の勉強になりそうな作品だ。(華4つ☆)

    ネタバレBOX

     所謂バックステージものを地でいった作品。座長が曲者で年中脚本を変えたり、設定を変えたりするものだから劇団中が大騒ぎするのが常なのだが、そこはそれ舞台監督が中々しっかり者で何とか纏めてきた。然し今回ばかりはそうはいかない。急な高熱の為ダウンしてしまったからだ。そこで急遽代役を立て、本日はその代役の木下が舞台監督を務めるが。
     今回用いられる演劇空間は通常の板の上だけでは無い。シアターサンモールの舞台寄りの客席部分全部が(通路の舞台寄り客席総て)舞台空間として設えられているのだ。ホリゾントの壁面はスクリーンとして用いられるが、幕を用いワンタッチで隠すことができる。舞台美術は大きな階段、モップの刺さったモップ洗い器、人工植裁といった所。そして客席側の椅子の背を利用して載せられた黒い平台を台形の短辺として長辺の左に照明操作盤と右に音響操作盤を前にしたそれぞれのスタッフ。やや上手側の中段辺りの椅子にダンスの振付師が座っている。観客は通路の後ろの客席からこれら全体を観る。
     座長が来る前にオープニング、ダンスシーン、場当たり等が行われているが、例によって緊急の変更が行われた為に舞台美術のバラシから何から。音響、照明の変更、脚本・演技・演目の変更等で大わらわである。因みに件の座長は昭和式のやり方で劇団を引っ張ろうとするものの創立以来残っている役者は、1名のみという惨憺たる有様。然し座長は座長らしく演劇好きなら誰でも追及してやまない演劇の本質を求めて戦っており、場当たりに現れてからのダメダシにも中々鋭い指摘があって劇団を力づくで引っ張ってゆこうとする。実際演劇好きなら劇作家、演出家、舞台監督、役者、照明、大道具・小道具、制作スタッフやプロンプター等の裏方総てと、観客迄含めて追及して止まないモノ、即ち演劇の本質を求めて皆普段から自らに磨きを掛ける。役者達は数多くの戦闘シーンでも更に動き体捌きを良いものにしようと奮闘し、ダンサーも今より更に美しくしっかりした表現にする為に自らと戦っており、皿回しのような曲芸も更なる磨きを掛けて見所にしようと懸命で、とエンターテインメントを演ずる為のコミカルでドライな要素をも取り入れ、ガチ勝負で懸命な有様をも同時進行で描きつつ、同時に現実と虚構が相互陥入するような舞台を創ろうと奮闘する姿を描く。無論、観る側とて気を抜けない。
     ラストは、これら総てを実現する為に用いられた策が提示されるオチ迄付く創りで、舞台に纏わる総ての人々を巻き込んだ。

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    2021/11/12 20:42

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